北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

拡張参加型デザインとリビングラボ

f:id:jensens:20170117205249p:plainフィンランドのアールト大学で参加型デザインの研究をし、現在は、オウル大学に移っているヨハンナさんが「拡張参加型デザインExpanded Participatory Design」と題して研究発表をした。彼女が言っているExpanded Particpatory Designというのは、ITシステムを市民を巻き込んで構築する(トップダウン)ばかりでなく、アクティブユーザが作り上げる自律コミュニティ(citizen self-organization)を中核として、その後の使い勝手の改良をも進めていっているようなコミュニティにおける自律的参加型デザインのこと。公式な(研究資金をもらって進めているような)ITプロジェクトから自律的、かつunofficialITプロジェクトになっている事例をあげて、Expanded Participatory Designと呼んでいる。これは、user-drivenと言い換える事もできるだろうか。そのような自律的なITサービスやシステム開発をどのようにICTで支援できるか、これは今後もとっても重要になっていくことだろう。

自律的に始まったものの例として挙げていた中でもCleaning Day(Homepage - Siivouspäivä)の事例が面白かった。初めはイリーガルに行われていたHelsinki市内での物々交換販売フリーマーケットが、フェイスブックやメイルチンプなどのITのサポートを受け、最終的には市にもサポートされるようになり、自律運営が継続されているというものだ。

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噂のアレを見てきた

f:id:jensens:20170106212112j:image周囲で噂になっているアレを、子供が寝た後に旦那と二人で見に行った。シリアスなファンが、コスプレして、何十時間も待ち行列をつくるアレだ。前回はコンピュータサイエンティストの旦那と字幕なしでアメリカで見た。全然わかんなかった。前々回は、昔の彼氏とパリで見た。新しく作られたシアターで、迫力の大画面と音響設備で、そしてフランス語字幕で。素敵な場所以外、何も覚えてない。エピソード5も6も、父に連れられて、いとこたちと映画館で見た(気がする)。オープニングしか覚えていない。

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「熊と踊れ」と安心感の強奪

北欧ミステリーという分野があるようで、近年、なかなか興味深い作品が発表されている。私の能力では、デンマーク語やスウェーデン語でミステリー小説を読みたいという気にはなれないのだけれども、実際に読んで(日本語で)みると現在の北欧の社会問題が下地になったストーリーが多くしかも知っている場所がよく出てくるから面白い。で、翻訳してくれる人・会社にはとても感謝だ。ありがとう。

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デンマークの郵便事情

f:id:jensens:20170604000731j:image年末年始に郵便を出そうと思ったら郵便ポストの投入口が施錠されていた。どうやら新年のお祭り騒ぎで郵便ポストが破壊されることがよくあったからということだけれども、クリスマス後から1月1日にかけて郵便ポストは使えず、配達物は郵便局に届けに行かないといけない。それはめんどくさいわけで、新年になったら解錠されるということで2日の本日郵便物を投函しに行ったのだが...。

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未来を創る人たち

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北欧での社会解決のためのデザイン手法を語る際に外せないのが、王立デザインスクールのKADKチーム。EvaとThomas、そしてJoachimが率いるKADK研究グループは、デザインの切り口で社会課題に取り組み、新しい手法を提案し、社会に問いを与え続けている。共同研究をするパートナは、大学の枠組みを超え、企業、公共機関、コミュニティへと広がっている。今、世界のあちこちで見られているデザイン思考を20年前からやっている人たちだ。デンマークをベースに地に足つけて、小さな課題から解決先を見つけ出している。

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