北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

障がい者が消える

f:id:jensens:20170719210457j:image障がい者と健常者の境ってどこにあるんだろう?そんな風に考えるようになったのは、デンマークでの障がい者雇用について調べたことがきっかけだったと思う。

今まで障がい者にカテゴリー分けされていなかった人が、例えばADHDと診断されるようになって、いわゆる「支援されるべき人」にカテゴライズされることになったりするのと同様に、今まで発達障害とされてきていたアスペルガの人たちが、訓練と環境を整えることで「普通に」雇用されるようになっている。雇用者が個室を与えたり直接目を合わせて会話しないでも済むような指示の与え方をするなど「支援する」ことが必要だったりするかもしれないけれども、アスペルガの人たちは、時には、その特殊能力ゆえに、高給取りだったりする。

 今はわかっていないけれども、10年後には「障がい」として認知される事項が今は認知されていないがために、健常者としての扱いを受け、苦労している人たちもいるのかもしれない。

結局、普通(ってそもその?だし)とか障がいとか、2項対立に考え線引きして、こっちのグループの人はこれ、あっちのグループの人はこれ、なんかのように判断することは本当はできない。そして、10年後には、障がいという言葉はなくなって、「多様性」に全て置き換わっていくのかも。支援金の額とか、その評価とか難しいな…。

そんなことをデンマークにいると感じるわけだ。

デンマークの美術館: Moesgaard Museum

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Moesgaard Museum | The first immigrants

環境関連のウェブサイトを見ていたら、聞いたことのない美術館建物がグリーンで素晴らしいと絶賛されていた。ちょっと気になっていたんだけれども、しばらくの間、忘れていて、でもひょんな事から関心がさらに深まったことには理由がある。新しいお気に入りDR(デンマーク国営テレビ局)のプログラム、「デンマークの歴史(Historien om Danmark)」に、そのMoesgaard museumの学芸員がよく出て来るのだ。俄然興味が湧いて、ユトランドに次回行く時には、ちょっと覗いてみようと思っていた。

で、先日、たまたま、近くで仕事がらみのミーティングがあり、帰りがけにちょっと見学に行ってきた。オーフス中央駅からバスで30分ほど。何もないエリアに突如として現れる白壁が美しい美術館。

どうやらオーフス近郊のこのエリアは、デンマークの歴史、特に青銅器時代鉄器時代あたりに栄えていた?!エリアで、ユネスコ世界遺産になっているイエリングストーンも近くにある。ロケーションがそれほど良くない場所にありながら、見学者も多数。展示も興味深い。ただ、見せるだけではなく感じさせる展示になっている。ルイジアナデザインミュージアムもいいけれども、あまり有名ではない美術館でもいい場所がたくさんある、それがデンマーク

 

ゴリラパークに行ってきた

f:id:jensens:20170716184634j:imageデンマークには、冬の長い国らしく室内ジャングルジム施設や室内プール施設があちこちにある。体を動かしたい子供たちを抱える我々は、よくそれら室内施設に行こうと子供たちにねだられるのだけれども、せっかく夏だし屋外で類似施設がないかどうか探してみた。それで、見つけたのがフュン島スヴェンボーにあるゴリラパーク

gorillapark.dk

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今更ラトゥール

f:id:jensens:20170715224451j:image(デンマークでも紫陽花が盛り。内容とは関係なし)

デンマークで研究をするようになって困難を極めたのが、ITシステムのデザインをやっているはずなのに、その理論的背景を説明するように求められる状況に陥ったこと。それはそれで良いことだったと思う。新規性を誇るだけでなく、その社会的意味もきちんと考えることは、コンピュータが社会にあまねく広がった現在、とても重要なことで、これは、デンマークに来てなかったら持つことができてなかっただろう視点だ。

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デンマークに住みたい人へ

f:id:jensens:20170713042909j:image(デンマークに住めばもれなくこんな景色が付いてきます)

なぜか、すでに7年前に書いた『デンマークに住む方法』というエントリーが、延々と閲覧ランキングトップを維持し、閲覧数を更新している。それだけ、デンマークに住みたいと思っている人が多いんだろうか。自分で言うのもなんだけれども、今見ると内容は、あまり実用的でもなければ、役に立つとは思えないんだけれども。

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教育の社会化と分散化

f:id:jensens:20170712223720j:imageだいぶ昔だけれども、デンマーク式文化洗脳教育で、デンマークの子供は6ヶ月から1歳ぐらいの幼児期から施設にいる時間が長いので、子供のデンマーク語の話し方が両親の話し方ではなくて、コペンハーゲン方言の話し方になっているということを書いたことがある。

デンマークでは、人としての教育の基盤は、一昔前の農業時代には家でほぼ培われていて、家の方針がみっちりと刷り込まれていたかもしれないけれども、現在は、母親父親両親ともに働く社会となり、子育ては分散化・社会化している。子供の基礎的な行動は幼稚園で学び、子供の知的能力は学校で支えられ、身体能力は学校外クラブ活動で支えられている。武道なんかをやっていると、デンマーク人でも学校では習うことのない団体行動の規範を知っていたりする。親が団体行動のイロハを知らないかもしれないけれども。これは、社会が理想的な子供像を共有しているということが前提であるが故に、社会の手によって育てられる子供は、その共有される子供像に沿って育つという意味で、マイナスに捉えられがちな社会化ではあることを認めた上で、タスクの分散化に関しては、悪くないと思うことが最近頻繁にある。

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王立大学の卒業展2017

f:id:jensens:20170708012609j:imageちょっと時間ができたので、クリスチャンスハウンと呼ばれる昔倉庫街だったエリアに並ぶ王立建築・デザイン・修復スクールの卒業展をのぞいてきた。卒業展「Afgangsudstilling Sommer 2017 | KADK」は、王立大学の建築・デザイン・修復コースが同時期に行なっていて、例年の大規模なイベントとなっている。

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