北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

デンマークの歴史入門

f:id:jensens:20171029235716j:plain

デンマーク国営テレビ局(DR)が放送していた全10回のHistorien om Danmark(デンマークの歴史)が終了した。そして最終回で炎上した。

この番組、いわゆるデンマークの歴史ドキュメンタリなんだが、涙が出るぐらい作りが秀逸だ。DRの資金力と企画力のメディア魂を感じさせられる。こんな高品質の映像が作られるのであれば、受信料を取られても全然オッケー。

続きを読む

デンマーク税務局の創造性

f:id:jensens:20171028223759p:plain

高福祉高負担社会デンマークの中心になっているのが税金。税金を確実に集めることなしにデンマークの社会は成り立たない。だからこそ、確実に正確に納税を果たしてもらうために多くの努力が払われている。その中心となっているのがSKAT(税務局)だ。確実な収税の要となっているのがITシステムで、IT無くして現在のSKATは成り立たない。そして、デンマーク電子政府システムは世界の中でも先端を行っていると言われるが、その中でも尖って先端を行っているのが税務局なんじゃないだろうか。使い勝手を向上させるためペルソナや参加型デザインを駆使し市民を巻き込み、利用者の話を聞き、デザインの改良を加え続け、現在のシンプルかつ、利用促進するデザインになっている。トップ画面はまことにシンプルで市民と企業のログイン画面が中心で悩みようがない。可視化はできないけれども、見えない仕組みの部分も詳細をうまく機能させるためのかなり尖った唸らせる工夫が満載で、税システムやITが大好きなオタクたちがこの組織にはたくさんいるんだろうなと、思わず笑みが漏れてくる。SKATに30年勤めているBoさんの話を聞いていると、もしかしたらガラパゴスなのかもしれないと思わされるのだけれども...(これに関しては後述)。

機会を得てSKATを訪問し、税務関連業務や徴税の電子化にまつわるいくつか興味深い事実を知った。

続きを読む

明日死ぬかもしれない

f:id:jensens:20171024031935j:image函館に着いてすぐ、地図を見たときに「トラピスト修道院」という文字が目についた。中高学園祭などで必ず売られていたクッキーの販売元が「トラピスト修道院」で、素朴ながら後をひく味のクッキーだが、修道士が作っているという売り込み(未確認)。

言われてみれば「トラピスト」は函館にあると聞いていたような気がするのだが、名前を見た途端に懐かしさが込み上げてきて、函館滞在中に時間ができたら行くしかないだろうとバスの時間を調べたりしてみたりして準備は万端だ。

続きを読む

日本デザイン学会参加(と考察)

f:id:jensens:20171017142526j:image

2017年度デザイン学会秋季大会のテーマ討論会に上平先生(発表資料←相変わらず見易い素晴らしい資料)らと招聘されて、函館に行ってきた。企画テーマ「共創・当事者デザイン」、当事者と共にデザインすることの意味。大会委員長岡本先生とCo Design関連でご一緒する機会が多々あり、今回の招聘に相成った。函館は初めての訪問地、そして好物海産物エリアということもあり、自分としてもかなり盛り上がっていたけれども、いやはや久しぶりの日本の学会自体がとても楽しかった。

続きを読む

VeVe:菜採バンザイ

f:id:jensens:20170811213021j:imageたまたまベジタリアンの友人が多くて、彼女らとどこにいけるだろうとレストランを探していた時に、全く聞いたことがなかったけれども、評判がとてもよいというこのVeVeの存在を知った。わたしの指南書北欧のレストランガイドWhite Guide | The best restaurants in the Nordicsでも高評価だ。

f:id:jensens:20170811210022j:imageまだ夏のとある日にようやく予約が取れて行った店は、一目で恋に落ちてしまう透明な空気を醸し出す素敵な空間だった。アペリティフジントニックを薦められた時には、なぜここにもっと早く来なかったんだろうと、それだけで印象アップ。最近ノルディックジンやノルディックトニックなどが出てきて、味比べを楽しんでる。

f:id:jensens:20170811212958j:image

まずスタータ、お通しとして出てきた6作品群が、VeVeの親分肌のレストランKIIN KIINの影響もあるんだろうアジアテイスト満載で、海苔に包まれた一品と出汁スープ?(Slurp of the ocean)やら、カレーテイストのミニコロッケ(Crouette)など、温かいもの、サクサクのもの...舌触りや香り、温度が工夫されていて、五感で味わわせてくれる、それだけでノックアウトされた。

f:id:jensens:20170811213049j:image

写真がうまく撮れなくて残念だが、トマトサラダと名付けられた一品。これも五感に響く一品。一つの皿で、様々な食感を楽しませてくれる料理は久しぶりだ。

Pers, mint & lemongrass with butter source。f:id:jensens:20170811213106j:image

Carrot and Tamarind....そう...何を隠そう、これは人参が主の一品。新北欧料理ではデンマークを代表する根野菜人参が主役の場合は多いのだけれども、さすがのアジアンテースト。f:id:jensens:20170811213110j:image

Smoked radish & Lancashire Cheddarは、もちろんデンマークラディッシュ。葉っぱまで美味しい。

f:id:jensens:20170811213130j:imageそしてNew Massaman potatoes. デンマークといえばじゃがいも。いや、このじゃがいもが美味しいのなんのって。程よく硬くじゃがいもにつけて食べるソースもコッテリとしっかりした味付け。 

f:id:jensens:20170811213005j:image

締めくくりはコレデモカッと次から次へと出てくる甘味の数々。それも、擬隠し。名前がシンプルすぎて笑えた。Cinamon in cinnamon、stoned grapes、Roses in rosesとか。

 

ベジタリアン料理ということで、お腹がいっぱいになるんだろうかと疑問に思う人もいるだろうが、このレストランではそれは心配ない。とはいえ、のんびりお酒と会話を楽しみつつ、食事をつまむ感覚が一番合っている。

食事には驚きが、空間には心地よさが。サービスはピリッとしつつも、全体的にはリラックス感も充満している良いレストランだった。次は雪の深い日にのんびり時間を過ごしに行きたい。

デンマークにも訪れるAI診断の波

f:id:jensens:20171002032239j:image最近、良い機会をいただきデンマークの医療とITに関連してデンマークの先端地域や機関の第一人者、関連スタートアップ企業の話を聞くことができた。その中の一つ、オー デンセのHealth Innovation Center of Southern Denmarkを訪問した際のこと。

続きを読む

忘れられた予防医療

f:id:jensens:20170927010845j:imageデンマークでは、ストレスが溜まっている人は、医師の診断を持って有給で病欠をとることができる。デンマークのストレス団体(Stressforeningen)によると、デンマークでは1日あたり3万5千人がストレスで会社を休んでいるんだそうだ。

続きを読む