北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

ワークショップのオーガナイズを考える

f:id:jensens:20160924114902j:imageワークショップオーガナイザという職種の人に会ったことがあるだろうか?最近関わっているプロジェクトREACHで、参加型Co-Designのワークショップを実施しているのだが、ワークショップでは、そのワークショップオーガナイザが活躍している。

REACHプロジェクトのワークショップオーガナイザーのタスクは、4カ国で開かれる全ワークショップの構成を練り、テンプレートを作り、関係各所を呼び込み、ワークショップを実施すること。今まで本プロジェクトでは、4ヶ月の間に、3カ国でワークショップが実施されている。

チャーミングなオーガナイザ・ジムは、即興で記録を作り、周囲を巻き込んで、視覚的な共有財産を蓄積させていく。ジムが作り出すワークショップの枠組みは典型的なデザインワークだ。プロセスもデザイン手法の王道を行き、発散フェーズから収束フェーズへと移行していく。中でも素晴らしいのは、彼本人のその記録能力やファシリテート能力だろうか。意見をうまく汲み取り、短いキーワードで記録しまとめあげ、参加者は、15分も経てば周囲にはA0の記録用紙が所狭しと掲示されていることに気づくだろう。そして結果はどうあれ、やり遂げた感、満足感が残る。ただ、正直に言おう。グループにジムが入るかどうか、別のメンバーがファシリテートするかどうかで、意見がうまく出されるか、盛り上がるか、果ては参加者(少なくとも私)のワークショップ参加の満足度は大きく変わる。

そして、結果の満足度が高いかどうかは、少なくとも現プロジェクトではオーガナイザ・ジムの個人的な対人スキルやたくさんの引き出しを持って進めるワークショップ手法に依るところが大きいことを、回を重ねるたびに実感させられている。

ワークショップの構成、そして何よりもワークショップオーガナイザーやファシリテーターの能力によって、ワークショップ慣れしている人や逆に慣れてない人の参加度合いが大きく変わる。この「ワークショップがうまく運営されるかどうかは、構成よりは、主導者個人の技術に依ることが多い」という実感は、REACHプロジェクト外でも感じている。

ワークショップオーガナイザという職種は、今後どのように展開していくのだろうか。日本でもワークショップ研究をする人たちが増えてきているようだし、グラフィックレコーダなども活躍しているみたいで、ワークショップは今後もっと増えていくだろう。

だからお願いしたい。一つのワークショップに参加して納得できなくても、そこで全てのワークショップを否定しないでほしい。少なくとも北欧の参加型デザインやcodesignは、様々な手法やツールを駆使して、ファシリテーター依存を下げる工夫をあちこちに組み込んでいる。手前ミソだけれども、オランダ流ファシリテーション(ジムはオランダ出身、オランダのデザイン教育を受けている)の手法を通して、やっぱり北欧の手法は面白いんじゃないかと思った次第。