北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

自然の中の保育園

自然!

先日、Copenhagen Postというデンマークの週刊英字新聞を読んでいた時に、面白い記事がありました。Exposure nature, creativity linked.
概略をいうと、自然の中の幼稚園(nature kindergarden)とでもいう保育園に行っている子供は、より創造性が豊かであるという調査結果の報告。

デンマークでは、両親の共働きが普通なので、早ければ10ヵ月ぐらいから,遅くても一年後には、赤ちゃんを保育園に預けます。ずっと手元で育てていると、逆に不思議がられる。「働かないの?」とか「子供が可愛そうじゃない?」
日本だと、3歳になるまでは、手元でと考える人が多いだろうし、専業主婦もまだまだ多いから、だいぶ文化の温度差があります。

それはさておき、それだけ長い期間、預ける場所でもあるから、子供にとっても、子供の将来を考える親にとっても、保育園は重要な場所になっているみたいなんです。とくに、デンマーク人は自然志向が強いから、関心も高いのだろうと、想像がつきます。

知り合いDavidとAnnaの子供Marcusは、その自然の中の保育園に行っていて、毎朝、スクールバスが迎えにきます。一日中野原で遊んで、午後4時に帰宅。彼ら曰く、コペンハーゲン市内の保育園に行く事になると、建物の中にいる時間がとても長いし、騒音や、自然がなさすぎ。子供のためにも良くないから、ちょっと遠い(バスで30分....、遠いか?!)ところに通わせている、だそうで。

DavidとAnnaの友人の子供は、もっと大きな広場がある保育園(Extreme自然保育園)に通わせているんだそう。そこでは、子供は、ほぼ一日中、外で過ごす。たまに、お茶やお昼に、保育園の建物に戻ってくることも出来るみたいだけれど、基本的に外にいるそうです。建物は、とても小さくて、家の中で過ごすようには出来ていない、とのこと。

東京出身の私に言わせれば,コペンハーゲン市内の保育園には十分遊べる場所があるし、公園があちらこちらにある。街もそこまで騒音ひどくないぞ....。外にずっといる事が基本になっているExtreme自然保育園に通っている子供は、本当に一日中外で遊んでいられるのだろうかと、ちょっと不安に思ってみたり。なぜって、こちらの風はとても冷たくて、10月中旬の今で、もう既に、外に1時間いると身体が芯から冷えてくる気がする。こちらの子供は、本当に強い。

子供時代にそんなに広々としたところで育って来ていたら、確かに都会に生活するのは、息苦しく思うのかもしれません。東京で生まれ育った私に取っては、コペンハーゲンの街はとても小さくて、緑に溢れ、水路があちらこちらにある、自然に溢れる都。自然が少ない、というデンマーク人のコトバを聞いて、カルチャーショックです。

ちなみに、アイスランドから来た女性曰く、コペンハーゲンは人間の住める場所じゃない、んだそう。彼女は、コペンハーゲン中心地から、1時間離れたとても自然の豊かな場所に住んでいます。彼女はきっと東京に行こうとも思わないのでしょう...。

育つ環境によって、その後の人生は極端に変わってくる気がします。コペンハーゲンの街で、自然の豊かさと、空間の広がりを満喫している私のような人と、息苦しいと毎日の生活にストレスを感じている人...。はたして、大自然の中で育った子供は、将来どんな仕事、どんな生活をする事になるのか、ちょっと気になります。