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北欧生活研究所

北欧在住11年。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

ヴァイキングの時代

デンマークの週末

大航海時代(The Great Navigation)の15世紀後半から17世紀にかけたその時代は、日本の江戸時代に当たる。(ちなみに、大航海時代という固有名詞は英語になく、Age of Discoveryや、Age of Explorationなどといわれる。大航海時代のほうがロマンがあると、私は個人的には思うのだけれど)。ヴァイキングが活躍したのは8世紀から11世紀あたりなので、大航海時代の前に、ヴァイキングは世界を船で旅していたわけで、デンマークでは、ヴァイキングがアメリカ大陸を発見したのだ!と口角泡飛ばして主張する人に何人も会った。

これは、眉唾というわけでもなさそうで、実際に米国では、スカンジナビア各地で見つかる石碑と似た類のものが見つかっている。「XXX王の息子XXXが、XXXの旅を経て、XXXにいたった」、などという歴史的情報がかなり限られている石碑の類だけれど。その頃のヴァイキング船は、風に向かって航海できたために、海を縦横無尽に渡り歩けた。その後の大航海時代の船が、用途は異なるとはいえ、風を受けて走るしかなかったことを考えると、技術的にも優秀な側面を持っていたのだろう。その後、風に向かって走れるヴァイキング船の技術は失われ、風任せの大航海時代が始まる。

ヴァイキングは、ほとんど記録を残さなかったので、記録を残した被害者達の記述が世界に広まり、ヴァイキング=ならず者という式が作り上げられ、一般的な印象も未だにそうではないかと思うのだけれど、実は、かなり文化的な側面を持っていたのではないかという研究結果があるようだ。スカンジナビア人の希望的観測かもしれないと、いえなくもないが、妥当性は十分あるのではないかと思う。昔の住居跡などからは、銀細工の美しいボタンやショール留めなどが見つかっているし、アクセサリーなんかも出土している。

そんなヴァイキング、戦ばかりしていたわけではなくて、冬は、戦いは中止だったそうだ。もちろん、スカンジナビアの冬の厳しさは日本のそれとは比較にならないのかもしれないが、日本の戦国時代なんかを考えると、デンマークの古戦事情はかなりのんびりしている印象は否めない。ゆえに、ヴィンランドサガで、冬の戦闘シーンがあるが、その状況は、なかなか考えにくい(とデンマーク人に言われた)。自然を敬慕していて、おおらかな人の交流(共同風呂とか...)もあったという。わかっていることも増えてきているとはいえ、ヴァイキングは、残酷・野卑といったイメージがあるだけで、わかっていないことの方が多い。

日本の大河ドラマのような高品質のヴァイキングドラマがあればいいのにと思い、デンマーク人に聞いたけれど、誰一人として思いついてくれなかった。近いものでは、十字軍に参戦した南スコーネ出身のArnの物語(Arn)...などだろうか。十字軍は、11世紀から13世紀ほどで、Arnという映画は12世紀を扱う物語ななので、ヴァイキング時代の生活が想像できなくもない。でも、製作が大変な割に商業的に報われないテーマだそうで、それほどヴァイキングに注目する人がいないんだそうで、この時代のスカンジナビアのドラマ・映画は限られる。日本の歴史好きのような人たちがデンマークにいても不思議じゃないのに。