北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

マルチリンガル子育て:2歳目前

以前マルチリンガル子育てのお茶会をしたことは話したけれど、そのことについて、参加者のMiwaちゃんがブログで「バイリンガル子育てのその後」書いてくれました。記録としても、その他の方への参考としてもとてもよいと思ったので、私もMiwaさんを見習って記録しておくことにします。まだ2歳になっていないので、それほどの進展はありませんが。

現在、我が家の姫は、1歳10ヶ月。コトバが少しずつ出てきた状態ですが、単語をポツポツ言う程度で、文章にはまだなっていません。本を広げて一人でなにやら話したり、お人形となにやら話していて、文章らしい発言はするのだけれど、デンマーク語でも日本語でもない宇宙語です。(これ、すごく面白いので、今度動画を紹介したいです。)

6ヶ月
姫は、6ヶ月から日本人のナニーさんに見てもらっていて日本語がメイン。時折、デンマーク語の本やスウェーデン語の本を読んでくれていたようだけれど、やはり日本語が中心だったと思う。

1歳ダオプライ期
その後1歳になったあたりから、日本人のダオプライさん(詳しくは、「デンマークの子育て支援策」)にお願いしていたので、ここでも基本は日本語。日本人のダオプライさん(仮にネコさんとしておく)は、旦那さんがデンマーク人だったので、デンマーク語も少し会話に入っていたらしい。ネコさん曰く、姫よりも1歳年上のネコさんの息子さん「王子」は、デンマーク語も日本語も少しずつわかっていたということ。旦那さんも良く家にいて、デンマーク語で話かけていてちょうどいいバランスだったのかな。
一方の姫は、私の「座りなさい」「おいで」「持ってきて」等の簡単な言葉には反応して行動に移すようになるのだけれど、旦那の同様の語り掛けには「何いってるん?この人」という眼を向けるのみ。ネコ家で面倒を見てもらっているときは、どうだったんだろう?

1歳保育園期
1歳8ヶ月になった時点で、王子が3歳の幼稚園齢期になり、ダオプライは終了。姫は、保育園Vuggestueへ行くことになり(姫の慣らし保育)平日昼間はデンマーク語生活に。一週間経過で既に、旦那の座りなさいに反応するようになったのには驚かされた。ただ、当初、姫は保育園の先生の言葉がわからなかったと思う。もちろん、保育園に行くということは、姫にとって一大変化なわけで、それだけでも不安定になる要素になるのだけれど、連れて行っても迎えにいっても泣いている姫の姿に、デンマーク語が原因か?と、一ヶ月はずっと心が痛んだ。ちなみに、その後は元気に通っています。

☆今やっていること☆
1) テレビを見せるときには、日本のメディア素材(トトロ,魔女の宅急便)をみせる。
お茶会に来たお母さんが言っていたことだけれど、彼女の息子さん(姫とほぼ同じ月齢)は、日本のヴィデオなどで色を覚えたそうです。テレビを見せるのはよくないと一般的にいわれがちだけれど、親が一緒に見たり、反応したりすることで、テレビも良い素材になるという論を私は信じています。

2)本の読み聞かせ
今日本語の子供の本が少ないのが悩みだけれど、デンマーク語の本を使って、日本語で読み聞かせしています。2歳弱の今の段階では、本の文章をそのまま読んでも飽きてしまうので、日本語の本を読んでいても、よくはしょるから、正確に読まなくてもいいかなと。そのうち、いい日本語の本を沢山手に入れてきたいと思います。

3)日本の家族とSkype会話
比較的頻繁にSkypeで、日本のじじばばと話します。「じーじ」は、はじめて発した言葉群の一つ。

4)私は日本語を貫く
Miwaさんも言っていることだけれど、複数言語を混ぜるのはよくない、とは、精読した発達心理学関連研究本にも書かれていました。そこから、複数言語がある環境で、複数言語を学習させるのは不可能ではないが、日本語の中にデンマーク語を混ぜるといったようなことは避けるべきと理解しています。私の友人の中でも、両親が複数言語理解している場合(デンマーク人の旦那さんが日本語がわかる、日本人の奥さんがデンマーク語もわかる)は、更にうまく行っているようです。子供の話していることが理解でき、その上で、正確な日本語に言いなおさせるということができるから。


☆これからやりたいこと☆
1)日本語の本を入手する。
私が好きだった日本の物語とか、デンマーク以外のヨーロッパの物語など、日本には秀逸な絵本が沢山あるので、日本語の絵本を手に入れる予定。小さい頃、まだ文字が読めない頃、暗誦するほど好きだった本があったのを覚えているのだけれど、それは、母がきちんと読んでくれていたお陰。しばらくしたら、今やっているはしょり読みばかりでは、いけないと思うので。

2)かなクラブ参加の準備
今までは、かなクラブも補習学校も行かせなくても家で日本語を勉強すれば良し、と思っていたのだけれど、Miwaさんの意見を聞いて、考え直し中です。最近、母親が日本人の10代の女の子に会ったのですが、ほぼ日本語が話せなかったのも、考え直し始めたきっかけの一つ。やはりある程度、親が確固とした意思をもって継続しないと、2言語を習得することは難しいことなのかなと思うようになりました。

☆さいごに☆
海外に生活していると、自分が何者かというアイデンティティの問題にぶち当たる人も多いといいます。さらに、親の国籍が異なる場合は、アイデンティティ・クライシスになる場合もあると言われているのだけれど...、皆が皆悩んでいるわけではないんですよね。今、国際結婚は本当に増えているようで、私の周りを見渡すだけでも、デンマークとフランス人カップル、イタリア人とポルトガル人、デンマーク人とブルガリア人カップルなど、あふれんばかり。彼らを見ていると、自分達の子供は、デンマークで生活していても、デンマーク人と同じようになる必要もないし、そもそもなれないと。

ある研究では、言語によって性格が変わるのは、必ずしも理想ではないとしています。確固たる自分を持ち、言語を本来の自分を表す手段として用いることができるならば、言語の影響で積極的になったり、消極的になったりすることはないのではないかと論じています。これは、新しい見方のようですが、確かに納得する部分もあります。

複数の言語を母国語として身に付けることで、自分のルーツを理解しつつ、デンマーク人か日本人かではなく、「自分」という個で人と対峙することができる子になってもらいたい、と願っています。