北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

デンマーク離婚事情

デンマークで離婚するカップルが非常に多いということは、デンマーク(特にコペンハーゲン)に住めば、統計を調べずとも感覚でわかってくる。「この二人は前妻との子供でこちらは今の妻との子供」と言う同年代の友人や、「今日はパパの家に行く日なの」という娘の友人。パーティに行き、主催者に挨拶したら、「母と父とその彼女」の三者を紹介されたり。親の不和を見せるよりは、離婚したほうが子供のためになるとデンマークの人たちは一般的には考えていると言われているし、メディアでもそのように報道されることが多いけれど、トラウマを抱えて「自分は結婚しない」と宣言している子や、自暴自棄になってしまっている子供を見ることもあり、私は、どちらかというと反対の意見をより見聞きしている。

デンマーク統計局によると、離婚の数は1971年から1.3万人-1.5万人の間を推移しており(1970 年の6千人から71年の1.3万人の飛躍は驚かされるが)量的にはそれほど変わっていないのだけれど、1990年から2000年に結婚したカップルの41%が離婚しているという統計にあらわれるように、質的な変化はあるようだ。また、親が離婚もしくは別居している子供は、平日に母親とすごし、週末に父親の元ですごすという従来の形態から、隔週ずつ母親と父親の住居に住む形態が増加しているなどの変化も興味深い。

女性が社会的に自立していることが離婚を踏みとどまらない理由として挙げられるが、デンマークでは、そればかりではなさそうだ。女性が、「なんだ、男性だって子供のオムツ変えや、お弁当作りや、服や靴下のペアを間違えずに履かせられる」と言うことに気づいたことが大きい(Flere børn bliver delt lige, Roskilde University)という研究結果も見られる。

デンマーク政府は、問題を抱えるカップルへのカウンセリング助成として、2014年までの4年間に1千万クローネの助成金を出すことにしたとの発表に、申請が殺到したとのこと。国家的にも、離婚率をこのままジリジリ上昇させるわけにはいかないと考えているような気配は、感じられるのだけれど、離婚に対する社会的な足枷が少ない国では、離婚率を下げるのは難しそうだ。