北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

廃棄物処理先進国、デンマーク

8月19日に、オーストラリアから1万6,000トン産業廃棄物が、デンマークの地方都市ニュボーの廃棄物処理施設に受け入れることが決定したとのニュースが、Politikenで報道された。輸送される廃棄物1万6,000トンの内6,100トン余りは有害廃棄物のヘキサクロロベンゼンで、1964年から91年の間にプラスティックや溶剤製造過程で輩出されたものとのこと。これら有害廃棄物は、シドニー近海に埋め立てられていたが、オーストラリアは、該当有害物質の処理施設を持たないため、デンマークで処理が進められることになったのだそうだ。

デンマークは、70年代に環境汚染が広がったころを機に、汚水や汚土処理だとか、浄化装置だとか、各種パイプだとかの自然環境系の技術や機械の研究が進み、技術や知見を海外に輸出しているが、海外からの産業廃棄物の処理などを引き受けてもいる。このような廃棄物処理を国境を越えて行うケースは、増加の一途をたどっている。上記のように必要不可欠なために行なわれるというケースはまだ良いが、規制があってないような中国やインドといった地域などに、廃棄され、汚染物質が垂れ流しというケースも多々あるようなのだ。

だからこそ、欧州委員会は、廃棄物輸送に関するEU規制1013/2006を出し欧州27カ国に国境を越える廃棄物の輸送及び環境に与える影響に配慮するように書類の提出を求めることになったし、EU未加入のノルウェーなども、環境保護に熱心で、国際的な廃棄物輸送に関する取り決めへの意欲を示している。とはいえ、「スウェーデンの今」に書かれていたスウェーデンの使用済み核燃料の処理に関する記事からもわかるように、完全な廃棄はできない場合(もしくは100万年かかる)もある。
自国で出したものを自国で適切に処理できないケースが多々あるというのは理解できるが、他国の尻拭いをすることが、国際社会で生きるすべになっている国があるとしたら、それは十分な懸念材料だろう。まずは、北欧委員会が電子化によって達成させようとしている不法廃棄の撲滅からというところだろうか。

ちなみに、ヘキサクロロベンゼンは、米国では66年に使用禁止になったそうだ(Wikiヘキサクロロベンゼン)。土中での半減期は、3-6年だそうだが、水中では、残留するので避けるべしとの記述がある。今回の廃棄物は、オーストラリアの海岸沖に埋め立てられていたという話だが、水は汚染されなかったのだろうか。少々不安になる。

EUにおける産業廃棄物輸送に関して定めたバーゼル条約に関しての情報は、こちら