北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

デンマークのオタクたち

夏になるとイベント盛りだくさんのデンマークだが、特に暖かくなってくるPinse(聖霊降臨祭:復活祭後の第7日曜日)の時期から夏にかけてデンマークのオタクたちの祭典が数多く開かれる。

ヴァイキングの祭典「中世のマーケット / Middelalder  Marked 」は、一般客も訪れる4日間のイベントだ。参加者の中には、数日間の間、バイキング時代の服装に身を包み、その時代の道具を使って食事を作ったりしながら生活し、ヴァイキング時代の手創り製品などを自作して販売する者もいる。
この日のために一年を過ごしているんじゃないかと思わされるほど気合が入っている人も多く、徹底的になりきっていて映画セットの中に紛れ込んだような不思議な感覚に襲われる。
ヴァイキングの服はもちろん手縫いで自然染料を使って染めるのが王道だ。マーケットに行くと、木のコップから、ゴールド装飾、ソードや武具までなんでも揃う。価格は張るけれど。
私が行ったのは、雨が降ったり晴天が続いたりした祭典の最終日だったから、なりきりヴァイキングオタクたちは、野性味あふれつつ魅了されつつも、近づくと臭かった。
 
中古の祭典(Veteran Træf)では、同様に18ー19世紀のスチームからディーゼルエンジンクラシックカー第二次世界大戦の残り火が集められ、野っ原にこれでもかと展示される。この祭典で素晴らしいと思わされたのは,皆現役ということだ。
私には年代が全くわからないがどうやら凄いらしいクラシックカーも公道を普通に走らせて会場まで来る。スチーム・ディーゼルエンジンやスチームエンジンを使った古い農具は,ピカピカに磨き上げられ,煙と甲高い音をあげて,エリア内で活動している。スチームエンジンの自動車も,エリア内を走り回っている。
私は、丸太切りのスチームエンジン機を見たのは初めてで、そのごっつい胴体とスチームの音と、2台のエンジンをつなぐなんとも頼りないゴムバンドの存在感に圧倒された。
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軍隊マニアも一緒に祭典を開催していた。青空のもと模擬戦争が米軍とドイツ軍とで展開されていた。カンズメから軍服、ラジオや新聞に至るまで本物(?)もしくは模倣されていてその徹底ぶりは、日本のオタクに勝るとも劣らない。みんな楽しそうになりきっていて、「現代社会」がまるで存在していないかのように振る舞う。
ドイツだったらかなり顰蹙ものだろうなと思わされるドイツ軍服に身をまとった男性女性が,当時のコーヒーポットとカップを片手に談笑している。舞台にいるのは全てデンマーク人だ。戦争時代を懐かしむシニアというよりは,ゲームに慣れ親しんだ若者層が多いことに驚かされる。これは,ヴァイキングの祭りでも同じだ。