北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

デンマークの創造性教育

デンマークの教育は創造性を伸ばす教育だ,そして私は,子供にそんな創造性を伸ばす教育を受けさせたい.そう,明確に認識し始めたのは,娘の日本語補習学校での経験が貢献している点が大きい.授業時間の間,椅子に座ることも先生の話を静かに聞くこともできない多くの補習学校幼稚部の子供達に業を煮やして,講師の先生に不満を伝えたのが始まりだった気がする.日本式の学校である以上,日本の幼稚園で子供たちがやっているように,きちんと話を聞かせてクラス運営をしてほしいという親に,先生は,普段デンマークの学校に行っている子供達が急に日本風にしろと言ってもそのような切り替えが子供達にできるわけはないということ,なによりも,子供に合わせた教育方針があるのではないかという,まさにデンマーク流の答えで返してきた.講師の先生とはしばらくの間すったもんだがあったのだけれど,結論からいうと,講師の先生に完敗である.議論を重ね,自分で色々と調べて勉強するうちに,補習学校(海外における日本語での教育)が現在の時流に沿わなくなっている事実,海外での教育のよさを捨て置いて,知識偏重型の日本風の教育を,無理に二つの文化を持つ子供達に押し付ける不毛さを改めて認識することになり,私の当初の認識は,誤っているのではないかという結論に至ることになった.
ただ,デンマークの教育で足りないこともある.それは,あまりにも創造性に偏り,従来型の形式的な知識の記憶が軽んじられているという点だ.基礎的な知識がないと誤った起点を置き,論理は間違っていなくても,結果として,判断が大きくぶれることがあり得る.デンマーク人の暗算力の弱さに驚かされたという話もよく聞くが,小学校時代から「計算機でよし」とする効率性重視の算数はやはり違う気がする.2桁の掛け算が暗算できなくてもいいけれど,買い物したときにレジでの計算が一桁ずれているか,お釣りがあっているどうかぐらい,暗算でわかった方がいいんじゃないってことだ.
そんなことを考えていて,デンマークの創造性教育に,日本の知識教育を掛け合わせればスーパーキッズができるんじゃないかと,なんだかワクワクしてきたのである.