北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

コーディネーションメカニズム

f:id:jensens:20160215214504j:image同僚のデンマーク人研究者は、大学の代表として地域の高校(デンマークの高校は基本的に公立)の執行役員(ボードメンバー)を務めている。これは、新興開発地区である大学の立地にも大きく関係しているのだろうが、地域に高校が新設されることに決まった時、IT大学から1人執行役員につくことが取り決められ、それ以降継続してポストが設けられ、大学の教員から選出されている。現在は2代目だ。

興味深いのは、こんな風にして地域で実施される中等教育に大学の知見がうまく活用されるための枠組みが整えられているということだ。よく、大学教育において、社会や企業ののニーズが酌み取られてないという批判がされ、学生の就職状況などが、デンマークの大学の人気ランクやひいては運営資金を左右する。だからこそ大学は、就職状況を気にするし、大学の執行役員には、産業連盟の重鎮が名前を載せてたりする。

今回知ったのは、高校レベルでも同じようなことが行われているということ。ITUは、デンマークでも珍しい新しい(99年)創立の、社会におけるIT活用に特化した研究を中心とする大学で、新しい組織だからこそスムーズにできる取り組みが数多く行われているように見える。地域の新設高校も新しい教育方法を取り入れていて、目指すところが似通っているということもある。ちなみに、この高校の新しい教育の取り組みについては、非常に面白いので、また別の機会に記録したい。

デンマーク社会の特徴として、組織縦断の連携を促進する努力が見られる。そして、それがうまく活用されている例を、電子政府の進展や大規模病院建築など、今まで多々見てきた。それだけでも興味深く思っていたけれど、うまく複雑な社会課題を解決するためには不可欠な多岐にわたるステークホルダーをコーディネートするためのメカニズムが、想像以上に社会の隅々にまで広がっているようなのだ。うーむ。。