北欧生活研究所

北欧在住13年。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

未来の図書館の姿?!

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デンマーク第二の都市オーフスにDOKK1と呼ばれる複合施設が出来た。海岸沿いの冬は海風で大変寒い風光明媚な場所に、美しい近代建築がそびえ立っている。この景観素晴らしい立地に建てられたのは、オーフス市の市民サービスセンターや図書館、イノベーションセンターが同居する複合施設だ。
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市民サービスセンターは、パスポートを取ったり、各種住民手続きなんかでお世話になるいわゆる市役所みたいな場所なんだけれど、建物に入るとまず見えるのが市民サービスセンターの受付。あちこちに備え付けられているディスプレイには、建物案内やら待ち時間表示なんかが掲示されている。まず目につくのは受付ディスク上のライトだろか。キラキラ輝き、デザイン王国デンマークの名に恥じない最高に凝っているプレゼンス。一見、オペラハウスやミュージックホールに来たような錯覚を覚えるほど美しい。でもココは、区役所。
 
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隣接するおしゃれなカフェの裏脇にあるのは公共図書館の図書返却機だ。正面はナンテコトナイが、側面はガラス張りになっていて返却した図書が図書館へベルトコンベアで運ばれていく様子が見られる。この図書館は、市民サービスセンターからシームレスに陸続きで存在する。その間に扉も壁もない。気がつくと図書館エリアにいるデザインだ。
 
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少し回って入っていくと急に視界が開けて、吹き抜けの二階エリアに繋がるスロープが広がっていた。この新しいオーフスので図書館、人気があるとは聞いていたものの、まさかこんなファンシーなデザイン王国デンマークの威信をかけて作りました的な建物に出会えるとは想像だにしなかった。
 

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なんせ、メイカースペースはあるわ、ボードゲームスペースはあるわ、イノベーションルームはあるわ…。
 
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子供図書エリアもまるでプレイランド。おそらく映画上映会なんかもやるんだろうと思われる階段型の読書エリアでは、子供が走り回り、大人が階段で雑談している。この子供エリアには、もちろん図書もあるんだけれど、工作スペース、展示スペース、ピンポン台に、アーケードゲーム機まである。
 
このオーフスが誇る図書館は、ミライの図書館として考えられる機能がふんだんに盛り込まれている。そもそも、多くのデンマークの図書館は、利用者が減少し、また今の社会に必要な新しい図書館の姿を模索している段階だ。一つの方向性として、社会弱者を支援する場所という視点が近年提示されているけれども、私は、それだけでいいんだろうかと常々思っていた。もっと違う知の集積所の役割があるんじゃないかと思うからだ。それは、もしかしたら、メイカーズ・スペースなのかもしれないし、読書という視覚だけでなく、触覚や味覚やその他の感覚を活用できる学びの空間なのかもしれない。
 
だからこそ、このオーフス図書館は、先端的な未来の図書館を模索する姿として注目していた。ただ、実際に来てみたら、想像通り⒌感を活用できる場が提供されているんだけれども、あまりのカラフルさに目眩がしてしまった。なんというか実際にその場にきてみたら、意欲溢れるデザイナがトップダウンで、新しい図書館にはこんな機能が必要だよねと議論した結果、出てきた全てを詰め込んだ大人のおもちゃ箱みたいだという印象が拭えなかったからだ。
 
この図書館が作られた時、図書館を愛する人たちは、どのような図書館の未来を描いていたんだろう。それとも図書館には今まで全く関係していなかった人たちが主導したんだろうか。
 
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この図書館は、大人の知的好奇心を刺激するレクチャーが頻繁に開催され、かつ、目的はともあれ、乳児から学童期まで、幅広い子供が集まる場所になってる。つまり、集客には成功しているわけだ。高負担の税金の再分配の結果作られた場所、オーフスの図書館。住民が無料で使えるキラキラ輝く公共のアソビ場が、ここにはある。
 
オーフスには、他にもキラキラ施設がたくさんある。近代美術館ARoSなんかも素敵な建物だ。この話はまた別の機会に。