北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

lost in translation

f:id:jensens:20160415004712j:image

海外で生活していると、時折、社会文化背景の違いや認識の違い、価値観の相違によって、深〜い勘違いをすることがある。このlost in translationは、11年目を迎えた現在でも、その存在を忘れた頃にやってきて私を脅かしてくれる。時には、取り返しのつかない勘違いとなり、クオリティオブライフを大いに損ねることもあることを、改めて感じるのだ。
 
あれから半年が経過し(デンマーク医療にまたしてもやられた...ている参照)、先日ようやく左目の再検査までこぎつけた。執刀グループによる検査だということで、意気揚々と行ったら、以前と全く同じ検査じゃないか。1時間待たされ受けた検査の後、手術日が提示された。その日は、半年以上かけて準備していた日本の大学とのワークショップのために日本出張に行くその当日。「その日はダメ…、どうしてもダメなの。私の半年と、今後のプロジェクトを左右する日。」半年待たされて、唯一避けたい日程に手術日が当てられるとは。
 
他の選択肢はないのかと問う私に、明らかに驚愕し憮然とする医師。「あなたが急ぎたいというから、急いで見つけて入れた最上のスポットなのに。」次の可能性はいつなのかと問う私に、半年かもしれないし、1年後かもしれない。確約はできない。と、なんとも歯切れの悪い回答。「とりあえず、他の日をチェックしてまた月曜日にでも連絡するわ。私、もう今日は業務終了だから」と、帰宅準備する医師。
 
トボトボ部屋を出て、迎えに来てくれたデンマーク人旦那に「決まりそうで決まらなかった」と、経緯を説明するや、「なんで2日を取らなかったんだ。これで、またウェイティングリストの最後尾に回されたぞ。」と、車を停めて、驚愕された。その反応に驚き、「日本行き全部キャンセルして2日とればいいのね。戻って言ってくる。」と、半分ヤケになって言ったら、当たり前だと、車を病院前に戻された。急いで診察フロアに戻るも、人っ子一人いやしない。いや…そりゃ15時5分過ぎてるけどさ…。
 
しょうがなく、とりあえず受付にやっぱり2日でいいですっと言いにもどり、さっきの日程調整抑えてありますよね、と確認するも、あなたの名前はどこにもないしスポットも空いてない。「いやー、とりあえず2日は予約されてないみたいですよ。」とのそっけない返答。帰り道も、次の日の金曜日も(医師休日、連絡とれず)、「私はとんでもない失敗をしでかしたんやないだろうか」というぐるぐる反省会が止まらない。週末は、相変わらずの頭痛と、「私はバカだ…。半年間苦しんできて、またこの辛い生活が半年〜一年続くのか。」と悶々考え続けて、時間が過ぎた。
 
今回自分に言い聞かせたこと。デンマークにいる限り病院での手術予定は、基本断るべきではない。ただでさえ命に関わらない限り、頭痛が続こうが、生活に支障があろうが、一度断ったらいつ自分の順番が回ってくるかわからない。一般的に対応は遅く、カスタマー対応は最小限と心得るべし。特に執刀医が複数人の少々難しい手術の場合、医師同士の調整も難しく、患者の仕事の都合はとりあえず二の次。無料だからか?!医師の対応は、ファミリードクターに比べて、極端に社会主義的。とは言っても、通常はそこまで問題にならないことは容易に想像できる。基本デンマーク人は嬉々として病欠を取るから、予定された手術日を断る人はほぼいないんだろうし。
 
結局、その後5月2日に手術が出来ることになり、嬉しいような…、悔しいような。しばらく検査や療養が必要とのことで、社会生活を最小限に絞ります。