北欧生活研究所

北欧在住11年。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

ノルウェー人の常識

再びノルウェーNRK製作のKampen om tungtvannetの話。この作品、ノルウェーNRK製作だけれども、ノルウェー語英語ドイツ語が入り混じり、一見ノルウェー製作だとわからない。だから初めは、特にノルウェーが作ったことに注意を払ってなかった。

ノルスク・ハイドロ重水工場破壊工作 - Wikipedia

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48年?に作られた同様の工作をテーマにした映画は、まさに映画らしさ満載で、演じている感が満載すぎて真実味が薄い。一方、NRK製作のものは、侵入や破壊工作のプロセスが丁寧に描かれ、あまりにも派手さがなくて逆に緊張感を高めている。

ノルウェー工作員チームが悪天候のために、予定外の場所にパラシュートで降ろされたシーンでは、エリアに吹雪の中、数十キロ離れた戦略室となる山小屋までスキーで訓行していかなくてはならなかったノルウェー人チームの姿を見ていられなかったし、後発隊(イギリス人部隊)が全滅しミッションを実施できず、食料のない冬山で次のミッションの知らせを待たないといけないとか、無茶な作戦すぎるんじゃないかと思わずにはいられなかった。

ただ、ノルウェー人にとっては「十分実現可能な戦略」と思っていたことが明らかで、常識や冬山・サバイバルスキルの違いに圧倒された。あまりの過酷さにめまいがしそうになっていたけれども、NRK製作だとわかってからは、少し安心して鑑賞することができた。

特に、ハダンゲルの山を熟知してるノルウェー人たちが、テレマークスキーを駆使しながら戦略を実現させていくシーンは秀逸だ。冬山を何日もかけて横断してスウェーデンまで渡ったり、1ヶ月間食料なしで冬山で収集狩りのみで生き延びたり、数千人のドイツ軍をスキー一本でかわしていったり....、冬山での北欧人のサバイバル能力の強さを見事に示している。私にもそしておそらくイギリス軍にとっても、どう考えても実行不可能に思える作戦が、ノルウェー人的常識では可能な作戦となる。「まず、誰も崖を登ると考えないから警備も厳しくないよね」というシーンは、日本の戦国時代の数々のストーリを思い起こさせた。

NRKは、いわゆる日本のNHKに当たるノルウェーの国営テレビ局、国営とはいえ、国の誇る物語を全く知らない私のような人に届け、そして感動させるその力量に感服だ。Kampen om tungtvannetは、全6回なんだけれども、しばらく次回が楽しみでたまらなかったし、全話見終わった今も、この戦略の素晴らしさやノルウェー人の素晴らしさに、思い出すたびに震えがくる。

あぁ、私には、第二次世界大戦ノルウェーの冬山も越せない。

 

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