北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

子育てに悩んだら

f:id:jensens:20161230143817j:imageデンマークの子育てについて、パネルディスカッションの登壇者として、大勢の前で話したことがあった。その時に、出会った小笠原舞(おがさわら まい)さんが友人と一緒に「いい親よりも大切なこと ~子どものために“しなくていいこと"こんなにあった! ~」を出版した。一度お会いしただけなんだけれども(だから今回が2回目)、たまたまタイミングが合って日本に行ったので、出版記念サイン会に参加した。参加したことで、子育てについて色々と考えさせられて、よかった。本は、0-3歳の子供を持つ親を対象にしたものだけれども、子育てをしている人には、示唆になること、「へぇー」と思わされることがたくさんある。さらっと読めて、子供との新しい関係の構築にも役立ちそうといういことで、年末年始の読書としてもオススメ。

 気がついたこと、考えたことをいくつか

f:id:jensens:20161230144015j:image男性が意外といた。本が0-3歳あたりの子供を持つ親を対象にしているので、イベント自体は、小さな子供を連れたお母さんが多かったのだけれども、意外と男性の出席者も多く、ふんふんと頷きながら話を聞いている。日本も変わったなぁと思わされたひと時。

カオス。発表会場は一種のカオス。子供が泣いてもいいですよ、走り回ってもいいですよ、という環境で実施された出版記念会だったのでそんなものだろうなとは思うのだけれども、そろそろ終わりという頃になって、集中力が切れたのか、あちこちで泣いてる子供が出てきた。泣かせても良い、というのと泣いている子供をほっぽっておくのとは違うと思うんだけれども、どのように、「自由に」させていいのか、わからない親が多いのかなと思った。「泣かせても良い社会環境」に親が当惑しているような印象を受けた。裏を返せば、そんな子供と一緒に過ごせる社会環境がなさすぎなんだろう。

普通のこと。本に書かれていたことは、デンマークでは意外と普通にやられていることも多かったんだけれども、改めて文字で表現されて解説されて、改めて腑に落ちたことがたくさん合った。

プロと親の関係。自分の子供を持ったことがない人に何がわかるの?多くの親が独身の保母さんなどの教育者に感じることだろう。私もそのように思ったりしたこともあったけれども、本を読んで、講演を聞いて、自分の考えは間違っていたなと思わされた。親だからできることと、多くの多種多様な子供を見ているからできることは違う。だからこそ、子育て初心者の親が一人で悩まず、プロの力を借りつつ協力して子育てをすること、が必要なんだと思う。「どちらかがボス」のような幼稚園の先生と親の関係をやめて、一緒に育てていこうよ!という「親子ほいくえん」スタンスが広くできれば、親も楽になるし、子供ものびのび育つようになるんだと思う。

子供中心の社会。他の人たちとも話していて改めて考えさせられたことだけれども、単純な比較をすると、日本は仕事中心の社会だ。ちょっと前まで親の死に目よりも仕事を優先させていた仕事社会だ。一方で、デンマークの社会は、70年代に子供中心に動く社会に変えた。子育ての時期を迎えている親たちは、仕事をフレキシブルにこなす。働いていても、子供のお稽古も行かせるし(お稽古に連れて行く時間がないとは言わずに会社を早く出る、もしくは親同士で協力する)、学校の送り迎えも交互に分担する。子供が病気になったら仕事を休まざるを得ないし、休暇も子供の休暇に合わせて取る人が多い。

子供は、予定通りに動かない。本当は大人だって生き物で、動物だから同じなんだろうけれども、子供は我慢できない。大人はそれを理解して必ずしも予定が予定通りに進むわけじゃないことを受容している。そんな子供中心の社会は、大人にも優しい社会だ。

大人と子供は流れる時間が違います。たまには子供に寄り添うことを目的にする時間を作って、子供の世界にどっぷり浸かってみてはいかがでしょう。(p.35 )

1日一回は愛情を伝える時間を作る”なぜなら子供は愛情を貯金しておけないからです。大事なことは「しながら」ではなく、その5分間は子供に集中すること。(p46)

その時々で、振り子のようにバランスをとりながら、今の自分や子供にとって「いいな」というところを見つけていける。子供の成長はもちろん、時代も自分も変化するもの。(p.48)

世界が多様であることを伝えよう。(p.50)

リズム (Rainbow books)」 真砂秀朗 (p.64); 筆者さんオススメの書籍。