北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

口頭試問、再び

f:id:jensens:20170211174554j:image9月に始まったデンマークの大学の冬学期は、12月末から1月中旬まで続いていたテスト週間を経て終了した。来週からは春学期が始まる。いつも以上に晴れ晴れとした気持ちで春学期を迎えることができるのは、この冬学期の「個人プロジェクト; IT for Parenting」で受け持っていた数人の学生のうち、とてもよくやってくれた一人の学生がデンマークの成績評価の最高点12ポイントを取得することができたからということが一つ大きい。

成績評価はレポートと口頭試問で、定性プロセスが多いプロジェクトで私がよく採用するスタイルだ。口頭試問に関しては、今までにも苦渋の経験がある。授業を受け持つ教師だけでなく、外部の評価者と二人で評価をするので、14週間頑張っていた学生が低評価で、適当に課題をこなしていた学生がより良い成績になったりすることもある(以前に執筆したデンマークでの口頭試問の受け方参照)。デンマークでは、出席率での評価や授業中の課題での評価はしてはいけないことになっており、ほぼ全てが最後の一発勝負になる。事前に指定された評価項目(中間発表への出席とか)もあるにはあるけれども。

今回のケースでは、一人の学生は、お願いした外部評価者(センサー)からも12ポイントの最高評価となり、口頭試問の最後にポイントを提示した時の「信じられない!!」という学生の顔が忘れられない。

前回の後悔を繰り返すまいと、今回、センサーに対して戦略的にやったこと、学んだことがある。

  1. 事前にセンサーとの関係をメールベースででも築いておく。
  2. 当日、プロジェクトの目的とタスクについて説明を怠らない。
  3. 自分の学生のレポートに対する評価を、明確に述べておく

今回のセンサーは、私の評価もきちんと聞いてくれる人で、初めは10と言っていたところ、「確かにプロジェクトの目的と、単位数と、時間を加味すると、このアウトプットが出せるならば、12をあげても良い」に変わった。レポートがなぜその評価なのかということをきちんと教師側が議論する必要があるというのは不思議な気もするが、定量的に測ることができるマークシートなどの評価とは、違う論理が必要になってくるということもわからなくもない。

ちなみに、デンマークの成績評価は、7グレードあり、スコアは最高が12で、"素晴らしい。あったとしてもマイナーな問題のみ"という評価。その次は10, 7, 4, 02と続く。それより下の評価は、グレード00, -3で、落第点だ。デンマークらしからぬと思うのだけれども、この評価は、欠点探しの評価とも言え、全ての学生は"12"ポイントという素晴らしい学習の結果を見せるという前提のもと、できない点を差し引いていくという形をとる。

ちなみに、デンマークで元から取られている評価基準を世界標準の成績評価(A, B, C, .... D, E)に合わせるために、不可思議なポイント00, -3などが出てきているということだ。