北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

デンマーク国立公文書館が素敵な件

f:id:jensens:20170330071137j:image日本の国立公文書館は、かつての母校(中高)があるエリア千代田区にある。今まで行ったことがなかったし、あることも知らなかったというのが正直なところだ。母校(大学)の教授が公文書館の館長になったりしたこともあったみたいだけれども、知らなかった。公文書館は、図書館の外交文書版、ぐらいにしか思ってなくて、なんのためにあるのかもよくわかってなかった。

そんな私が、ひょんなことからデンマークの国立公文書館を訪問する機会に恵まれた。整った管理体制と貯蔵施設、そして感涙もののデジタルアーカイブ。誇り溢れる館長始め職員たち。

 f:id:jensens:20170330071154j:image紙資料は、標準化が進み定形(いくつか変形はある)の箱に保存管理されることになっている。省庁からは、処理され(クリップなどが外され)、洗浄されて箱に入った資料が公文書館に届けられる。資料は、箱に付与されたバーコードで管理される。利用が多い近年のものは、デジタル化が進んでいるし、利用が少ない資料もボランティアの手を借りながら電子化がどんどん進んでいるそうだ。多くの原本資料は、一般人の手に渡ることがほとんどなく、保存館に移管され、保存されている。

デンマーク国立公文書館は、国と地方自治体の公文書の保存をしており、国勢調査記録や財務記録が主なものだそうだ(デンマークの国立公文書館参照)。2014年からデンマーク省庁(及び公的機関とビジネスや一般市民のコミュニケーション)の資料は全て電子化されているし、古い紙媒体の次々に電子化されているので、オンラインでの調査も簡便だ。電子化されてない且つ利用者が少ない古い資料を当たりたい人たちがわざわざ公文書館に足を運ぶぐらいだ。

家系学とクラウドソーシング」でその時の感動を記録してあるのだが、改めて声を大にして言いたい。長い歴史を持つ国は、その財産として残して行く義務がある。つまるところ、歴史は、その時代によって評価が変わるから、新しい評価が出てくることに怖気付いてはいけない。普遍な歴史はないわけで、新しい視点で評価に耐えるような第一次資料が提示されることで、歴史の再評価が可能になる。改変、削除、廃棄はもってのほかだ。

現在のデンマーク公文書館の英語ホームページでは、”デンマーク奴隷貿易の歴史”と題して、『(デンマークは)1792年に世界で始めての奴隷貿易を開始した』なんて、とても物議をかもしそうな特集と資料へのリンクが貼られている。 そして小学生でも使えるデジタル教育プログラムまで用意されているんだから、申し分ない。