北欧生活研究所

北欧在住13年。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

ヘルスケアイノベーションの今

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Healthcare Innovationというコペンハーゲン大学rsk Tårnetで開かれたヘルスケアイノベーション会議に参加してきた。デンマークのヘルスケア関連機関、大学、地方自治体、広域自治体が、一同に会す会議だ。以前参加したCPHヘルスイノベーション - 北欧生活研究所と同じくEUなんかからも資金が来ている参加無料(昼食、シャンパン付き!)!の会議だった。ちなみにこれはメモですので悪しからず。

 デンマークの先進医療分野は、様々なアクターたちが集まる場になっている。医師、看護師、ソフトウェア開発者、学生(新しい考えを持ってこれる)、障害者、研究者。そして、Jakob Bによるとその片鱗は、デンマークのエンジニア文化に根付くものだそうだ。昔から新しい何かの技術を作るときに、すでに複数の利害関係者が協力して製造していたことはB&Oの開発秘話やLegoなどでもよく聞く話だから個人的にも納得がいく。そしてその動きはシステム化され、例えば現在のデンマークが誇る産官学協調体制(トリプルヘリックス)に見られている。システムや解決策を作るって言っても、誰が使うのかを考えなくてはならないのは自明だけれども実際に研究の分野では忘れされる傾向にある。誰のためのもの?どう行動変容を促したいんだろう?こんな疑問がきちんと研究者やシステム提供者、構築者、為政者から出るのが、とても健全でデンマークらしい。

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今のデンマークの医療イノベーション分野の研究や実験はどんなことが試されているのか概要がつまみ食いできるこのような会議は、もちろんよく知っていることもあるけれど、他の参加者の反応を見ながら話を聞けるので面白い。遺伝子、環境、ライフスタイルに合わせた医薬品(Precision Medicine)の研究、センサーの代わりに携帯で収集される音声を分析してストレスレベルや鬱などを感知する(声の調子は様々なことを語る!)研究を紹介したJakob Bの話は面白かったし、たくさんのセンサーや調査をして収集したデータからは多くのことが見えてくるかもしれないと言いつつも、その中の役立つright dataをどう探すのかと図表を多用して説明したDTUPer Bækgaardの話はもっと聞いて見たかった(incorporate new data sources utilize weaker signals establish personal baselines eventually getting at the right data.)。

今でもWindows3.0のようなシステムがあることからもわかるようにシステムの進化は勝手に起こるものではないし、システムにどのような使い勝手を求めるかは個々によって異なるから、一つに統一するのは良いと思えないだからこそ、Better to give the user freedom to choose between systemsというDTU ComputeOle WintherOleが開発している珍しい病気を探すシステムFindZebraは、Googleの難病版というところで、医師からの集中攻撃を受けていたものの、患者にして見たら非常にわかりやすくインターフェースも工夫されていて役立ちそうなシステムだと思った。「診断から治療まで」ということで、Jan Madsenは、ざっと今の小型コンピュータの現状をさらってくれた。digital pill、体にインプラントしてモニターするのに使うsmart dust computer (1mm3)、Organ-on-computer, biocomputer、などを見ていると、インプラントはすぐ先の未来だとわかる。

よく、医師の仕事がなくなるとか言われるが、Jakob Bによると「技術によって医師と患者のコラボレーションが次のレベルにまで高められる!」これは、デンマークの医療ポータルのトップSundhed.dkも言っていて、そんな未来を描くことから始めるのは、良い方策に思える。

非常に面白かったのが、「どのように市民を教育したらいいと思うか」という問いだ。ちょっと上から目線に聞こえるかもしれないが、そうではなくて、きちんとした知見を人が得られるように環境を整えなくてはいけないということだと理解した。今、多くの人がGoogleで自分の病状を調査して不必要な心配をするようになっている、余計な投薬を受けている、余計な病院通いをしている。多くの人(医師を含め)が治療が不可能だ考えている病状にどんな治療の可能性があるのか知らない。そして、多くの人がどんなデータを取られているのか知らずに毎日iPhoneを使っている。本当に役に立つHealth Care Innovationを達成させるには、多くの人が知るべきことがたくさんあるんじゃないだろうか。

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同僚のCodesign研究者Loneも、ヘルスケア分野で、患者や市民を巻き込んだリビングラボの事例を発表してました。Evaは、認知症のプロジェクトの報告で学生のまとめたレポートHjemme hos Alzheimer by Janne Millerが面白そう。医療分野では、認知症がビックテーマの一つになっています。

イベントのマルチメディア報告書もキチンと作成されている。

Innovation som drivkraft i fremtidens sundhedssektor - Copenhagen Health Innovation