北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

「死」を学ぶということ

 

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子供達が自主的にアート作品に取り組む。切り絵に取り組む子供達。

デンマークのデザイン幼稚園に行ってきた。

このデザイン幼稚園は、コリング市の公立幼稚園のうちの一つであるが、2010年に鳴り物入りでオープンした幼稚園だ。「自分の人生を自分でデザインすることのできる自立した市民を育てる」ためにできることは何か、そう考えたコリング市は、幼稚園の段階から始める必要があるということで新しいコンセプトに基づきデザイン幼稚園「DesignBørnehuset SanseSlottet (インスタ)」を作ったのだという。音楽やデザインやデジタルに秀でたスキルを持っている保育士たちが、子供たちの創造性ややってみたい!と思う気持ちに火をつけサポートする環境を整える。

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デンマーク人の死生観

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大好きなラジオプログラムの「ミイラ研究最前線」と銘打った回を聞き、ミイラ研究の今を知る機会を得た。私は、ミイラと言われるとエジプトのミイラしか思い描けなかったが、ゲスト出演していた専門家によると南米、エジプト、ヨーロッパ、オセアニア、日本とあちこちからミイラは出土しているんだそうだ。興味深いなと思ったのが、それぞれ死生観が大きく異なり「肉体を残しておく」意味は様々だという点だ。

以前映画Cocoを見たときに、「死者の日」ってそんな意味があったんだとか、日本の祖先との関係では、お盆と似てるなとか思ったことを思い出した。南米の死生観から生まれるミイラとエジプトのミイラの違いには驚かされたし、日本の即身仏の成り立ちとの違いも興味深かった。 

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初クラファン!

 

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tamaki niimeのショールを羽織ってみる

初クラファン、はじめました!ぜひ、覗いてみてください!いやはや、まさか、自分がクラウドファンディングを活用する機会が来ようとは!

今の2-30代などの若い作り手たちがクラウドファンディングを使ってサポートを集めて、新しい日本酒造りをしたり、イベントを起こしたりしているのを、今までは遠くから見ているのが精一杯でした。正直、いまいちクラウドファンディングは理解しているのか自分でも心もとないのだけれども、これって単なる「資金集め」ではなくて、想いを広げて、多くの人と共有するプロセスなのかなと思ったりしています。

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日本のいいものはどうしたら生き残れるだろう?

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デンマークのいいもの

やっと論文の修正が終わった。正味、2週間ほどかかった。大好きなトピックで数年前からかなり真剣に構成を考え、過去関連論文を漁り、丁寧に書いていたつもりだったけれども、なかなか日の目を見ない論文。もしうまくいったら、年明けには発表ができる見込みだ。

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PONY Nordlandedt, Bornholmに行ってきた

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久しぶりのニューノルディックのレストラン。PONY(pony: 若さ溢れるポニーそしてポニーキックス:) - 北欧生活研究所,コペンハーゲン・レストラン・ランキング2017 - 北欧生活研究所)は、コペンハーゲンのニューノルディックの中でも好きなお店だけれども、せっかくボーンホルム島Bornholmにきてるから、行かないわけにいかない。

 

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f:id:jensens:20190804041339j:image 景色に圧倒され、透明な空気の中ゆったりした時間が過ぎていった。

 サーブしてくれた人がとてもかっこよくて、元気だったので、ちょっとおしゃべりしてみた。「自分はボーンホルムが大好きだよ。Ponyで働けてとっても嬉しいね」というその人に、「ボーンホルムで生まれ育ってるの?」と聞いたら、「夏の間だけボーンホルムで、そのほかの時期はコペンハーゲンのPonyで働いているよ」。料理だけでなく、働き方も面白い。

 

紙の本の行方

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デンマークに住み始めて14年。最初の頃の大きなストレスの一つは、日本の本が(すぐに)読めないことだった。読みたい本があってもすぐに買うことができない、本屋さんでパラパラ試し読みすることができない。

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イノベーションの鍵

私のオフィスがあるPier47というスタートアップの企業が集まるイノベーションハウスでは、月に数回イベントが実施されている。The Entrepreneurial Society: How to build it?というタイトルで実施された2019年1月27日のイベントは、教育相Minister for Higher Education and Science, Tommy Ahlersが登壇するイベントだった。

参加者100人ぐらいのイベントで教育相が登壇し、そしてQAで活発に議論が交わされるのが非常に興味深い。教育相は、もともとスタートアップに関わった経験が多々あるようで、イノベーションの知見を持って政治の世界に入った。 なぜデンマークでのイノベーションが進むのかというドイツ人からのコメントに対して、Tommyが言っていたのが、次の言葉。

We dare to delegate the responsibility !

権限委譲ができないことが大きな飛躍を生み出せてないケースは多々みてきており、非常に示唆に富む。