北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

ベジに未来を見ているバイキング達

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Naturli'のCEO ヘンリク・ルンドさん
 
「未来を知る最善の方法は自ら創り出すことだ」
The best way to predict the fture is to invent it. 
 
コンピュータサイエンティスト、アラン・ケイのこの言葉は、私の尊敬する指導教官が事あるたびに言及していた言葉でもある。未来がどうなるのかなんて、誰にもわからない。どうなるか占ったり予想したりするより、自分で理想的な未来を創ってしまえばいいじゃないか。私の中では、コンピュータサイエンティストがコンセプトをつくる時や開発時の基本スタンスとして、この言葉を記憶している。 続きを読む

差別意識はどこから生まれるか

女性リーダたちの話は結構好きで、サンドバーグさんのLean Inも読んだし、ヒラリー・クリントンも、そして勝間さんも話題になっていた時に読んだし、津田梅子なんかからも影響を受けた。その後も、折に触れ本を読んだり、ドキュメンタリーをみたりしている。このコロナ影響下で、色々とドキュメンタリーをみたけれども、女性関連の映画やドキュメンタリも色々とみた。その中で見たミシェル・オバマのBecomingは実に衝撃的だった。
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デンマークの大学で雇用面接を受けた時の話

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大学でのキャリアを考えて何度かデンマークの研究職の公募に応募した。これは、その時の話。
 
第一関門は書類審査。大量の資料を準備する。典型的には、5本程度の論文、業績リスト、そのほかのリスト、なぜ応募したいかを書き連ね、推薦状を添付して提出する。たとえ、定期的に業績リストをアップデートしていたとしても、対象のポジションにパーフェクトに沿うように修正を加え、加筆する必要がある。私の経験では、すでにあるベース資料をもとに、申請書を仕上げるのに少なくとも1週間はかかる。
申請書類は、ポジションに応募する資格があるかどうかを(おそらく)複数人で評価している。その評価書は、なんと応募者に開示される。評価書は1ページ弱で、論文の評価、クラス運営に関する評価、研究業績に関する評価などが客観的に記されることになる。その評価書で面接に呼ぶかどうかを決めることになるのだが、書かれている内容について応募者は異議申し立てをすることができる。他の国で応募したことがないので、比較はできないけれども、とてもデンマークらしい。以前、他の候補者から異議申し立てがあったために再評価をする必要があるということで、面談時期が伸びたことがあった。
 
評価書において、応募資格を適切に満たしていると認められた人の中で、さらにふるい落としがあるようだ。面談に呼ばれるのは、3-5人と狭き門だ。
 
面談に呼ばれると、5-6人の教授陣の面接官が並ぶ中で、30分ほどの面接を受けることになる。学部長や授業担当、研究担当、そのほかの教授が並ぶ中、なんと現役の学生もいる。学生が教師を評価することは、デンマークの大学では普通のことだけれども、雇用プロセスにも学生の代表が呼ばれるわけだ。
 
事あるごとに、デンマークの民主主義の浸透度には驚かされる。明らかに、デンマーク社会の根底に流れる一つの思想として重要なものに「民主主義」があり、それを守るためにあらゆる場所に仕組みが根付いているのだ。「民主主義」はともすれば脆いものであるという認識があり、その脆さを補うための仕組みを社会のあちこちに根付かせている。その北欧が誇る政治の透明度も民主主義の原則から考えたらあるべき姿の具現化に過ぎないし、討論をしダイアローグを重ねるのも民主主義である所以だ。弱者となりがちな人の意見をすくい上げるための仕組みがあり、それを機能させるためのプロセスがある。最終判断を個人に仰ぎ、当事者意識を持たせるのも、民主主義に重要な観点だ。香港で長期にわたるイギリス統治下の際に積み上げられた「民主主義」は、暴力的な動きに発展しているようで懸念を覚えるけれども、声を出すということを諦めない香港の人たちの中には、まだかろうじて形が残っているように思う。
 
日本社会の根底には何が流れ、何が共有されているんだろうか?日本が未来に残していきたい柱はどこにあるんだろう。わびさびなんだろうか?忖度なんだろうか?

音声をあえてオンにする

この数日間、知り合いと話していて、確かにそうだと思わされたことがある。

Zoomなどの会合で、人数が多かったり、ハウリングが激しくうるさい場合を除き、基本、自分が話していない時も音声オフにしない方が良い、という点である。

講義を行っている間、発表などをするとき、90分とか結構長い間一方的に話し続けることがある。これって話し手からすると、すごく孤独に、そして不安になる。

普段の講義や発表は、相手の反応がある。ちょっとしたうなずきだったり、不満そうな顔つきだったり。咳をする人もいれば、ガタガタうるさい人もいる。静かにして欲しいと思うこともあるだろうが、実際に「完全に音のない世界」に入り込んでみると、静けさに吸い込まれそうになる。

自分の声だけ聞こえるんだが、あとは何も聞こえない。誰もいない世界に入り込んだみたいで、本当恐ろしい。ブラックホールに立つとそんな気分になるのかも。私の知り合いは、「一人にしないで〜」って叫びたい騒動に駆られるんだそうだ。

というわけで、音声オンを今後は時々実行しようと思う。

長期化が想定される社会隔離生活に行動認知療法を取り入れるか...

Cows are released to the grass field first time after the winter.

2年前の今頃、牛の放牧を見に行った。幸せなデンマークの日常。

自分は大丈夫と思っていたんだけれども、最近結構、感情の起伏が最近激しく、身体にも支障をきたしている。腹痛が続いたり頭痛がしたり。そして、意味なく子供(ともちろん旦那)にもイライラしてしまう。悪いと思いつつ...。そして、やはり、「あぁ、もう私こんな隔離生活我慢できないっ」とか外に発散する人の方が精神には良く、自分は大丈夫と思っている人や内に秘めてしまっている人が一番危ないんだそうだ。

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デンマークの離婚事情

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年末に衝撃的な出来事があった。20年近く知っている素敵なデンマーク人夫婦が、知らないうちに別居を始めていた。とても仲良く見えていた夫婦でティーンの子供が2人いる。喧嘩はするけれども、喧嘩するほど仲が良いと言われるような典型的な家族に思えていた。その家族とは、一緒に夕飯を食べたり旅行に行ったりして、楽しい時間の思い出ばかりだ。最近どう?と日常会話で聞いた時に、ちょっとまだ大変だから、と言われた。不可解な表情をしたら、聞いてないの?と驚いた顔をして、別居しているという話をポツリとしてくれた。その後、偶然のタイミングなのか、デンマークでよく言われるクリスマス離婚の影響なのか、2組の夫婦の別居の話を聞いた。その後、年始に会った在デンマークの日本の友人との会話でも複数の知り合いの離婚話を聞いた。自分のことではなくても、知り合いの仲の良い姿を折に触れ見ていたこともあり、衝撃は大きかった。 続きを読む

欧州への影響

日本の新型コロナの状況には、胸を痛める。肌感覚ではなく報道でしか状況はわかりませんが、人的要因で拡大している部分が多く思われるのは非常に残念・無念。
 
多くの日本の方に聞かれるのだが、私はアジア人ということで差別を受けたことはないし、特に不穏な雰囲気の中に居合わせたこともなく、平穏に生活している。ただ、同じアジア人としてアジア系が公共の場で咳き込んでいる方を見ると正直ギョッとしている自分がいる。時節柄不必要な移動を控えるとかは必要不可欠。自分は感染してない、他者の配慮としてマスクを使用しているから、では、欧州の人たちは理解できない。アジア人側の危機感が足りないケースを散見するのが残念でならないという方が強い。