北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

春パッケージ2.0

3月1日、デンマークの2009年税制改革の全容が合意されました。現政権とデンマーク国民党の閣外協力で、過半数に達したため合意に至ったというもので、野党の反対を押し切った形になります。焦点となり新聞などでも騒がれているのは、中間税の全廃や基本税率の減少、健康に悪いタバコやチョコレートなどへの課税ですが、グリーンIT、グリーン税制などと何でもグリーンを進めているデンマークらしく、環境保全のための税も導入されるようです。

「春パッケージ2.0」ってなんだか素敵な名前で、いかにも生活に春がやってきそうな素敵な税制改革(?)になっていそうなのですけれど、収支を合わせるためには、増税もどこかでしないといけないですよね。それが、チョコレートへの課税であり、車両への増税であり(更に?)、エネルギーに対する増税であるようです。       

話はそれますが、疑問に思うのは、次の点

  • 健康に害があるといって、砂糖やチョコレートに増税するというのは、管理主義すぎやしないか。

デンマークでは、医療が社会保障の一つと位置づけられていますから、肥満やタバコによる肺がんの増加は、国の医療負担につながるわけです。「管理主義すぎやしないか」という点は、これにより説明がつけられるというのが、多くのデンマーク人の意見のようです。しかしながら、チョコレートや砂糖に関しては、食べ過ぎなければいいはずじゃないか、とチョコレート好きの私は思うのです。

税制改革詳細は、次のとおり、

  • 課税上限は、59%から、51.5%に減額
  • 限界税率(総所得から8%の労働市場賦課税を引いたもの)が、7.5%減額、63%から55.5%へ。
  • 最高税の対象が、38.98万DKK以上の所得に引き上げられる。
  • 最高税の税率は変わらず15%。
  • 中間税は、廃止。
  • 基本税は、1.5%引き下げられ、3.76%に。
  • 基本税は、4.29万クローネ以上の所得に対し課される。
  • 医療賦課税8%は、段階的に引き上げられ(一年に1%)、2019年には、全廃される。これにより、最終的に、基本税は、11.76%となる。 
  • 地方税は、変わらず、およそ25.5%を維持。

税制改革は、上記に挙げたものばかりではなく、住宅ローンの支払いを対象とする税控除額を33%から25%に減らすといった項目もあります。これは、国民にローンを組むのではなく貯蓄にまわすように奨励するためです。
グリーン小切手といわれるものは、成人に1300クローネ、子供に300クローネの補助を行うというもので、高所得者への助成額は減額されます。今回の税制改革では、ガスや電気といったエネルギー関連税が増税されますが、エネルギー関連の消費を抑えることで、グリーン小切手で配布された給付金が少し手元に残ることも可能になるわけです。
増税は、エネルギー、車両、タバコや砂糖といった健康に害のある製品に対して行われます。
VAT(日本の消費税のようなもの)が、今まで例外とされていた旅行エージェンシー、不動産といった分野にも適用されます。
交易・ビジネス関連の一連の助成が廃止されます。