デンマークでは、7歳から16歳の児童の就学が義務づけられており、日本で言う小学校と中学校をあわせた公的教育であるフォルクスコールに進む。9年間の教育の後、半数は卒業するが、残りは任意で10学年に進級する。卒業後は、約半数が職業学校、45%が大学進学を目的とした一般的な上級中等教育に進み、約5%は進学をせずに就職する。(参照http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/gyosei/089/INDEX.HTM)
フォルクスコールは7歳から始まると上記サイトでも述べられているのですが、多数の生徒が0学年と呼ばれる事前準備コースに進むようです。その上、多くの生徒が10年生に進むということなので、合計11年初等教育が続くということになります。デンマークでは、日本や他のアジア諸国、米国のように、受験戦争のようなものはありませんし、「うちの子は、早生まれて同学年の子と差がだいぶ出てきているから、今年は留年させたわ」なんて話を良く聞くので、一年遅れるプレッシャーなども存在しないようです。
教育に関してものんびりしたもので、多くの場合「共同生活を学ぶ」と言っているのみで、幼児教育における「モンテッソーリ」などの教育手法などはほとんど聞きません。塾のようなものも見ませんし、その他の音楽、絵画、水泳といった習い事なども、盛んとは言いがたいようです。短期滞在者、例えば、日本から数年間の予定で赴任で来る夫婦などは、子供の教育に不安を感じる人は多いようです。個人的意見ですが、私は、日本の学校に普通の子として入れたい、日本の普通の大学に進学させたいのであれば、デンマークでの数年間をどう過ごすかは、切実な問題になってくると思います。デンマークの学校で大学まで過ごすのであれば、初等教育、中等教育で知識偏重の教育は必要ない(大学受験はなく学校での成績で希望の大学の希望のコースに入学できるか決まる)ため、知識を入れてはくれないからです。私は、デンマークの学校教育は、知識を教える場ではなく、勉強の仕方を教える(勉強したくなったら自分で学べるように)、社会で自分を主張し、Assertiveに振舞う方法を教える、英語に触れさせる(デンマーク語は日本語に比べれば英語に格段に近く)場、であると考えています。これは、国際社会で役に立つ人を育成することには成功していると思いますが、日本の教育方法とは接点が少ないですし、日本人が常識としてもっているような必要な知識をつけることには成功していないと思われます。
前置きが長くなりましたが、昨日、娘の学校の説明会に行ってきました。娘は、今10ヶ月。この教育砂漠のようなデンマークでは、名目上どの学校も平等に上質であるといわれているようですが、実は非公式ランキング(例えばCEPOSなどhttp://www.undervisningseffekt.dk/)が存在します。公立学校ばかりでなく、私立学校も多数存在します。親の間でも、あの学校がいいらしい、といったような噂はあちらこちらで流れます。さらに、子供が生まれてからすぐにでも希望する学校に入学申請をする(waiting list)に載せる、ということが必要だとのこと。説明会には、既に2歳になった子の母親が来ていましたが、「この学校に入学させられるか」と質問に、校長が答えています。「空きがでれば入学させられるが、空きが出るかは現状ではなんともいえない」。どうやら、この平等国家デンマーク、実は、早い者勝ち「First come, first serve」のようです。
説明会では、校長による学校のモットーの説明から始まり、どのような教育をしているか、などの1時間に渡るプレゼンがあり、その後、学校の見学が行われました。特徴としては、2年生からの外国語教育(通常4年生から)、および第二外国語がフランス語とドイツ語から選べるという点、カトリック教育が行われているという点(デンマークはプロテスタントの国)でしょうか。また、放課後のクラブ活動団体と密接に連絡を取っている(通常は学校とは切り離された組織が行っている)点も、男女共に90%が働くデンマークではプラス点のようです。
私たちは、娘の入学申請希望を出してきましたが、私は6年も前から説明会に参加して、入学希望申請をするほどの良い学校には思えませんでした。非公式ランキングでは、上位に位置する学校ですが、校舎は戦前からのもので古く(よく言えば伝統がある)、教室も小さく、先生から特に知的な印象も受けず。「服装の乱れ、部屋の乱れは、精神の乱れ。」なんていっていたのは、誰だったでしょうか...。学校探しはまだまだ続きそうです。