北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

デンマークの政治劇

国粋主義的な政党は、欧州内では比較的どこの国でもいると思うが、最近のデンマーク国民党(新聞でもNationalistと名指しされている)の勢いは止まらないどころか加速度を増していっているようだ。国民党党首のピア・ケアスゴー氏は、どこかで刺されてもおかしくないんじゃないだろうかというぐらい過激な提案を継続して展開している。

デンマークの移民政策において、国際結婚する場合はデンマーク人・外国人配偶者ともに24歳以上じゃないとデンマークの居住ビザを出さないという24歳ルールというのがある。一見不条理な条項に思えるが、デンマーク国民党が嫌悪する「働かず社会保障を食い物にする」移民グループは、この条項に引っかかるものが多いのだろうと予測される。また、親同士が決める結婚がまだまだ有効な移民グループにおける強制結婚を防ぐという目的もある。この24歳を28歳に引き上げるという提案をピア氏が発表したのだが、さすがに首相は却下した。

その却下に対して国民党がまたもや発表した斬新なアイディアは、なんと、西洋諸国から以外の移民を禁止するというもの。当然のことながら、デンマーク唯一の英字新聞Copenhagen Postの記事、Halt on non-Western immigration proposed. では、以前の外国人へのデンマーク語教育の記事で書いたように、感情的な投稿が相次いでいる。以前にも書いたように、ターゲットではない(と思われる)人たちに、メッセージが届いてしまっていないだろうか。

日本は当然西洋に属していないから、仮に承認されて移民不可となったら、日本人も住めなくなるのだろう。他人事ではないはずなのだけれど、このような発言も「言論の自由」の名の下に堂々とメディアに載っているデンマークを見ていると、風刺色の強い政治舞台劇を見ているような気になってくる。