北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

ウプサラのイノベーションエコシステム

f:id:jensens:20160129021404j:imageイノベーションが生まれる場所には、どんな特徴があるんだろう。

参加型デザインは、かつてワークショップなどでの多様性を活用したイノベーションの手法として、興味深いと思っていたけれど、今は、より長期的な視点イノベーションを起こすための仕組みが必要なんじゃないかと思ってる。

デザインゲームワークショップに参加した人たちは、ほとんどが良かったと言ってくれる。でも、マインドセットの転換、思考の転換をするのは、その2-3時間のワークショップではどうしても無理だ。ワークショップのあと、皆、日常生活に戻る。結局、日常生活に戻った人は、ワークショップでスパークしたすばらしいイノベーションの方策を、日常業務や生活に取り入れることは、残念だけれどもほぼないんだろう。
だからこそ、長期的な方策としてのリビングラボに、今とても関心を持っている。調査してると、リビングラボを構築するにはどうしたらいいのか、ということが主眼になりがちだけれども、「生まれながらのリビングラボ」を理解する必要もあるんじゃないかと考えるにいたった。たとえば、シリコンバレーみたいな場所だ。何らかの場が持つ求心力によって、シリコンバレーはITハブになる。ITハブになって、優秀な人が集中して集まることによって、その場所がさらに磨かれITハブとしての駆動力や魅力がさらに増してくるような場所だ。
何がその場所を構成しているか、その構成要素をリストにしても意味がない。おそらくその場に見られる複雑系の関連性をリニアやネットワークで示せないものがある。それを、北欧の人はエコシステムと呼んでいるみたいだ。そのシステムを構成する要素は複雑に絡み合っていて、材料をぶち込んでガシャガシャしたからできるもんではない。人工的に作ることは多分無理でも、その生態を知ることは意味がある。おそらく。
ウプサラのサイエンスパークは、まさにそんな場所だった。