北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

デンマークの郵便事情

f:id:jensens:20170604000731j:image年末年始に郵便を出そうと思ったら郵便ポストの投入口が施錠されていた。どうやら新年のお祭り騒ぎで郵便ポストが破壊されることがよくあったからということだけれども、クリスマス後から1月1日にかけて郵便ポストは使えず、配達物は郵便局に届けに行かないといけない。それはめんどくさいわけで、新年になったら解錠されるということで2日の本日郵便物を投函しに行ったのだが...。

 投函した後気づいたのだけれども、ポストが曲げられて壊れてる...。まぁいいやもう入れちゃったしとそのまま立ち去ろうとしたら、可愛らしいおばあちゃまがやはり封書を投函しにヨッコラエッチラ向こうの方から歩いてくるのが見えた。

「年末年始は投函できなかったのよ」と言うおばあちゃまに、「今日は投函できましたよ。...ポスト壊れてますけど。」ポストを横目で見ながら、驚愕の顔をしているおばあちゃまに向かって、わかってるだろうけれども、一応言ってみた。今まで投函できなかったし、もう一つのポストはまだ施錠されていたし...。と話し続けるおばあちゃんに、「郵便局に持って言ったら受け付けてもらえるみたい」と言ってみたら、郵便局は遠いし...と言われた。確かにその通り。

デンマークの郵便事情は今までも先進国というのが恥ずかしいぐらい必ずしもよくなかったけれども、最近は悪化の一途だ。今までは、ユトランドからの郵便は2-3日後には届いていたと思うが、先日コペンハーゲンからオーフスに封書を郵送したら、2週間後に届きましたと連絡が来た。2週間って...海外に送ったわけじゃないんだけど。しかも、第二の都市に送ったんだけれども。

電子化の波が、郵便物にも及んで来ている。そもそも、2015年にすでに政府の連絡は郵送が中止されたし(納税のお知らせとか、社会保障費とか、子育て資金とかの連絡がすべて電子メールで来る)、昨年には、郵便局が人件費削減、予算削減で、「A郵便(プライオリテイ・メール、一応すぐに届けてくれることを約束している)を廃止します」宣言をしたぐらい。

既存権益の問題とか全くないのかと心配になってしまうぐらいバサバサと、不要と誰から判断したサービスが無くなっていく。以前の記事「デンマークから紙幣やコインが消える?! - 北欧生活研究所」でも書いたのだけれども、トコトン利便性、効率性を重視する国、湿っぽい感情論になりにくい国デンマーク郵便ポストが施錠されてたってデンマーク人に話しても、郵便って誰も使ってないよね。メールすればいいじゃん。と、言われるのがおちだ。1624年に構築された公営システムで、長い歴史を持っていて、いまだに毎日の生活の中で活用していて、必須アイテムにしているおばあちゃまのような人がいたとしても、世の中の流れはかわらない。