デンマークのDRという日本のNHKのようなチャンネルで、2ヶ月ぐらいかけて、Alene i vildmarken(荒野に一人っきり:超訳)という番組をやっていた。一種のリアリティチャンネルなんだけれども、設定がデンマークらしい。北ノルウェーの川べりに、お互いに見えないぐらいの間隔(15キロぐらいだったかな)で十人のチャレンジャーが送られ、一人で自給自足の生活をする。自然豊かなノルウェーの自然の中(冬も間近)でのサバイバル生活。
食事は持参することはなく、自分で獲得しなくてはならない。鹿もいるのだがどうやら狩りをしてはいけないルールで、川に生息する小魚と採集(ブルーベリーが主)で腹を満たす(満たせない…(。-_-。)。持っていけるものも限られているが、サバイバル道具をリュックサックいっぱいに持参でき、ナイフやら寝袋やら、最低限のものは一応持参する。
(この先ネタバレです)
十人の過ごし方は多様で、クリエーティビティを存分に発揮し、ツールを作り出す人や、精神的に参ってしまって何もできない人もいる。魚が取れずに、代わりに苔を食べたり、食べられる草を探したりする人、鹿のフンを集めてパイプを吸っている人など、その知恵と日々の生活に感嘆させられた。8名は20日ほどで脱落、最後に2人が倍以上の40日強の時間を一人っきりで過ごした。
冬の北ノルウェーが舞台という時点で、私なんかは、寒くてどうしようもなくなると思うのだが、それは参加者に取って特に大きな障壁ではなかったようだ。風呂に入れないのも、トイレがないのも多分、参加者は気にしてない。「もう数日歯を磨いてないもんね〜」なんて楽しそうにコメントしている人を見て、あぁ、私はサバイバルできない、とテレビを見ながらギョギョっとしていた。暇な時間を持て余して寒いノルウェーの川に飛び込んだりしている人や、簡易サウナを作ったり、おそらく大変な生活なんだろうけれども、工夫して毎日の生活に彩りを与えている点がレベル的に、もう私とは次元が違う。
特に印象的だったのは人の限界がどこにあるかという点を考えさせられたこと。人は十分な食料を確保できないと精神的におかしくなっていくことは、なんとなくわかっていたけれども、それがヴィジュアルに記録されているのを見るのは初めてだ。また、驚いたことに、一人きりでの生活も驚くほど精神的な打撃は大きいことがわかった。パートナーとして、犬などの動物が一緒だったら、もっと長く残った人もいたかもしれない。最後まで残った二人の精神力は喝采もので、最後に脱落した方は、一人生活に降参したのではなく、体力的に限界だったんだろう。45日間で21キロダイエットに成功してしまった彼は、もともともう少し肉がついていたり、最後の生き残りと同じぐらいの魚を採集できていれば、まだまだ残れたのではなかったかと思う。
何はともあれ、私には、とてもじゃないけれども、こんな北ノルウェーでのサバイバルは無理だ。もし、戦争なんかになって、ノルウェーやシベリアなどの北の寒いエリアに取り残されたら、きっと一番に果てるんじゃないだろうかと思う。