最近、「デンマークの家族」とその変容に関する英語・デンマーク語の文献を読み漁っていて、デンマークをはじめとした北欧の家族の変容に改めて驚かされている。60年代以前は、できちゃった婚がすごく多かった(社会的に結婚せずに出産するということが認められていなかったから出来ちゃった時にかけこみ結婚するということ)社会であったにもかかわらず、今は、男性いらないという女性が種だけもらって出産するなんてこともよくあるケースだ。60年(1.5世代ぐらいで)でそれだけ変わったということに驚きを禁じえない。
そんなちょっと日本の先行く社会だからこそ、どうしたら男性が子供の面倒を見るようになるかとか、そんな研究も散見されてとても興味深い。文化差はあるかもしれないと思いつつも、アニマル人間としては、共通する部分もあるんじゃないかと思うのである。
例えば、女性は、男性に対して単に子供を認知するだけではなく、子供が欲しいという欲求を期待し、この欲求を「愛」であると認識するという。つまり、「子供が欲しくないってことは私を愛してないのねっ」「二人の子供が欲しいってことは、私をそれだけ気に入ってくれているんだわ」と女性は、考えがちなんだそうだ。
また、同じ研究でおもしろいと思ったのは、『女性の欲求の結果、子供を持つようになったカップルは、子育ては女性側が主要な担い手であるという認識を持ちやすいが、父親が子供を求めた結果、子を授かった場合には、子育てを平等に分担する(もちろん事例は北欧のケースなので、あしからず)』という研究結果だ。つまり、男側が「子供が欲しい」といった結果、子作りをすることになったケースの場合は、子供が生まれた後に、男性が子育てにコミットしているということらしい。
ただし、一般的に男性の方が少ない数の子供(1-2人)を求め、女性の方がより多くの子供を欲すると言われている(オーストラリアの研究だけれども)から、たとえ男性が子供が欲しいと言って家族計画を実施したとしても、女性と男性の子育てへの負担や義務感は、アンバランスにならざるをえないようなのだ。「俺は一人で十分だったのに…」とか。
このようなことが研究によって明らかにされつつあり、これらの知見は、少子化対策として活用できるんじゃないかと思う。例えば、国が子育て支援政策として女性支援やバラマキの代わりに、子供が欲しいという男性側のニーズが確認できるカップルを優先して育児支援するとか。
他にも、なぜ北欧の男性は子育てをするのかという疑問に、面白い視点が多々見られる。こちらは、また別の機会にまとめたいと思う。