ノルウェードラマの躍進が止まらない。私の中で。
国営放送が作り出すドラマや映画が、この数年次々に公開されている。特にナチスドイツ占領下の物語が次々に公開されている。ノルウェーの誇りを示す物語として国民から人気を博しているということもあるだろうし、時代的にも第二次世界大戦のことがより詳細に語られやすくなったということもあるんだろう。私はノルウェー人でもなんでもないのに、誰も入れなさそうな雪山に突如として白一色のノルウェー勇姿が現れ、ナチスに追いかけられる人たちを救ったり、深い雪山でのシークレット・ミッションをこなすシーンには、感動でいつも鳥肌が立つぐらいだ。ノルウェー人の気持ちはいかほどか。
以前にも紹介した「Kampen om tungtvannet (重水の闘い)」もノルウェー魂(?)を感じさせられるドラマだったし、映画「ヒトラーに屈しなかった国王」も骨太な映画だった。ちなみに、重水の戦いは、ナチスドイツ占領下のノルウェーの話、映画「ヒトラーに屈しなかった国王」は占領前夜の物語だ。
2015年NRK(ノルウェーテレビ局)製作のKampen om tungtvannet (重水の闘い)は、ノルウェーテレビ局のテレビドラマ作品だ。第二次世界大戦中、イギリス軍とノルウェー人(イギリス軍に合流)が協力し、ノルウェーのテレマーク地方にあったヒュドロ重水工場の破壊工作を進めた一連の作戦をドラマ化したもの。
そして、この数日ハマっているのが、Atlantic Crossing。またしてもNRK(ノルウェーテレビ局)による2020年製作作品で前述二つの物語と時期を同じくするが(ノルウェーはよっぽどこの時期が好きなんだろう。多分今までのノルウェー歴史のハイライト)、中心人物となっているのは、ノルウェー皇太子妃。ノルウェーがナチスドイツに占領されるという状況に直面して、ノルウェー王とオーラウ(Olav)皇太子はイギリスへ、皇太子妃のマーサ(Märtha)は米国に疎開する。
何が良いかと聞かれると色々理由はあげられるが、なによりも、まず映像が美しい。ノルウェーの雪山、米国の雄大な自然、そして、いままで知らなかったスキャンダラスな歴史が満載なのだ。物語は、「史実にインスピレーションを受けて作られた」と記載されているのであるが、なにしろ物議を起こしそうなシーンが満載だ。
1. マーサ皇太子妃の叔父にあたるスウェーデン国王がナチスのシンパだった
マーサはスウェーデン皇室の皇女でノルウェー王室に嫁いだ。ノルウェーにナチスが侵攻した際に陸路でスウェーデンに入り、ストックホルム宮殿にしばらく避難するのだが、叔父にあたる国王からそして周囲から圧力がかかり、米国行きを考えるようになる。ノルウェー・デンマークがナチスのナチスの侵攻を避けられなかったにもかかわらず、中立国でいつづけられたスウェーデンの秘密がここにあるのかもしれないけれども、これはイッテイイコトナンデショウカ。
2. 皇太子妃マーサは、フランクリン・ルーズベルトと恋仲だった
いやぁ、それはいくらなんでも...。と思ったのだが、Wikiにつぎのような記載を見つけた。
ルーズベルトのマッタへの敬愛の情は非常に深いもので、ルーズベルトにとっては最後の恋愛感情の対象でもあったのではないかと息子のジェームズ・ルーズベルトは述懐している。
これも公然の秘密なんだろうか。
3. ノルウェー王ホーカンの溢れる人間味
もちろん皇室でも人間なわけで、聖人君子というわけではないだろうが、あまりにも人間味に満ち溢れていて、ここまで晒していいのだろうかと心配になった。ナチスが侵攻したばかりのホーカン王、家族やノルウェー首相らと北に逃げるのだが、どうも頼りない。ベッドの向こう側に小さく膝を抱えて座り込み部屋から出て来なくなったシーンには、私が目を逸らしたくなった。
北欧のドラマは、やはり北欧色に溢れていて、こんな歴史物であっても、男女の平等とか正義とか民主主義とか、透明性とか考えさせられるわけです。