北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

戦争の展示を見に行ってみた

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現在デンマークでは、戦争や地下壕をテーマとするいくつかの博物館に、関心が高まっているらしい(DR.DK)。

DR.DKの記事で紹介されていたスカナボー博物館(Skanderborg Museum)では、2022年から2023年にかけての来館者数が約25%増加した。博物館の学芸員であるマーティン・モルゴー氏によれば、ウクライナの戦争をはじめ、デンマークの防衛とヨーロッパでの戦争が注目されているこの時期に、第二次世界大戦時の展示が特に人気であるという。

地下壕の博物館としては、コペンハーゲンレジスタンスミュージアムが有名だろうか(レジスタンス・ミュージアムに行ってきた - 北欧生活研究所)。

来館者は、デンマークが大きな紛争に直面したとき、どのようなことが行われていたのか、また基本的な物資が配給される中で生活することがどのようなものであったかに特に興味を示しているという。

 

www.dr.dk

つい最近、個人的にも戦争関連の展示を見てきた。個人的にも大好きなユトランド半島にあるMoesgaard博物館の新展示「Kriger:戦争で戦う者」である。

Moesgaard博物館は、私が住んでいるコペンハーゲンから4時間ほどはかかるのだけれども、大好きな場所でよく行く。以前にも北欧の知られざる歴史を日本語で聞ける衝撃 - 北欧生活研究所や、デンマークの美術館:Moesgaard Museum Vol.2 - 北欧生活研究所で紹介したことがある。ウクライナ戦争が始まったばかりの頃、ウクライナ・ロシアで貿易をしていたバイキングたちの話「RUS:東方のヴァイキング」は、今思い返してもとても高品質な展示だった。

今回の「Kriger:戦争で戦う者」は、ローマ軍、日本の侍、ニューギニアのSepik、現代のデンマーク軍という4つの、大陸も時代も社会も異なる「戦う者たち」に焦点を当てた小さいけれどもキラリと輝く展示だった。

今だからテーマとして選ばれたのだろうと思う。個人的にも、この自分の平和な日常と大きくかけ離れた非日常的日常が、そう遠くない場所で繰り広げられているということを、毎日の生活の中で考えざるを得ない。ほとんどの社会文化で、忌避されるはずの人の命を殺めるという行為がなぜか戦争では日常になる。人を殺すというタスクを与えられた人たちが、その行為に入り込むまでの心持ち、明日は、誰かを殺すということを考える時の心持ち、そして、普通の社会に戻ってきた時にどのような心持ちで過ごすのだろうか。

「人は、いかにして戦う者になるのか?戦う前、戦っている間、戦いを終えたあと・・・(hvad det gør ved et menneske at blive kriger – både før, under og efter kampen)」

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