北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

デンマークの美術館:ルイジアナ美術館(Louisiana)

春先のルイジアナ

ルイジアナ美術館 は、デンマーク旅行する人が必ず目指すとも言っていいモダンアートの美術館だ。立地も景観もとてもよく、目の前に透明度の高い海が広がり、庭園が美しい。「世界一の景観」とも言われるのも納得だ。日本人のランドスケープアーキテクトに聞いた話だが、ルイジアナは、海底美術館の元になっているそうだ。そう言われて、初めて、ルイジアナ美術館が海抜下に位置している事を知った。

国際的にも注目される美術館ということもあり、尖った前進的な展示が多く、社会的な問題提起がされる。行くたびに脳内が爆発しグルグルとあらぬことを考えすぎてしまうので、個人的には、気軽に行けない美術館としてブラックリストに入れている。

2022年5月の企画展示はいくつかあるが、60−70年代に米国で活躍したポートレートDIANE ARBUSと都市計画建築家Peter Cook – City Landscapesが、今回も脳内から離れてくれない。

60−70年代に米国で活躍した写真家DIANE ARBUSは、人を撮り続けた。社会派の写真家と言われるが、社会で注目されることのない「変わった人たち」を取り続けたことが評価されている。その時代に「変わった人たち」に注目して記録したことは確かに注目されることなのだろうが、60・70年代の米国の暗闇が、明るみの中に出されており、胃が痛くなりながら、美しい美術館の中を徘徊した。時折、抽出されていた「本人談」が本音すぎて、自らの興味のままに撮り続けることは、芸術という枠組みであったとしても、本当に許されるのか、またしてもグルグル回り続ける原因となった。

これが未来の街


建築家Peter Cook – City Landscapesの、ファンタジックな都市計画のドローイングも同様だ。過去20年ほど、私は、ひとが幸せになれる「デジタルシティ」とは何かを考え続けている。「可能であるかもしれないが、果たして人が本当に街に求めることなのか」という点を考え続けているがゆえに、Peter Cookの作品は、直視することがとても苦しかった。前進的な考えやイメージを可視化することは、大きな危険性をはらむことを理解しなくてはいけない、と再認識させられる要因にもなった。

 

イメージは魅力的だ