北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

2020年夏Vol.3: おいしいレストランに行ってきた

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La Table de Kamiya

自宅待機期間になんだか手持ち無沙汰で、Twitterをよく覗いていた。その時によく見かけたのが、料理を教えてくれるレストランのオーナーシェフ美味しいチョコレートを作るパティシエのツイート。こんな時だからちょっと時間かけて美味しいものとか作ろうかなとか、皆が思っていた時期なのかもしれない。プロの調理人が惜しげもなく自分のレシピを公開していたり、突然オンラインクッキング講座を始めたり、ちょっとした面白いカオスが繰り広げられていた。

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2020年夏Vol.2: ボルドー旅行の勧め

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ワイン畑があちこちに広がる

ワインを飲むようになってから、ボルドーがずっと気になっていた。新大陸より欧州、イタリアよりフランスのワイン。ブルゴーニュよりもボルドー。心をがっつりつかまれるような深い濃い色と渋みの強いボルドーワインの味。年を重ねたワインは余計に味が出てくる。口の中でずっと大切にしておきたいような丸みを帯びた不思議な感覚に変わる。結婚式のワインにと大好きな義理の父が選んでくれた結婚パーティの赤ワインがサン=テミリオンのシャトーワインだったのも何かの縁かもしれない。これは、秘密だけれども、昔付き合ってた人はボルドーワインが大好きだった。だから私の中では、ボルドーワインは、大勢で楽しむのもいいけれども、一人でグラス1杯ちょっと夜が濃くなった時間に飲むのも悪くない。

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風呂場で歌わない人はサイコパスであるという件について

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娘がシャワーを浴びながら何事か喋っている。時々歌が挟まり、おしゃべりも加わる。なんだか楽しそうなんだけれども、シャワールームに娘は一人。独り言だ。隣に座っていた旦那に、「君もシャワー浴びながら独り言を言うよね?」と話しかけると、「しないの?」と、逆に問われた。旦那は歌わない人だが、風呂場で低い声で独り言を言い続ける。そして「うぉ〜」時折叫ぶ。

そういえば、昔付き合ってたとてつもなく優秀な帝大男子も、夜、風呂に入った時に独り言を必ずいっていた。時々しか単語が判別できなかったので、何を喋っているのか聞いたことがある。1日の反省会だそうだ。シャワーを浴びながら1日の出来事を思い起こして、反省会をするのだという。

「他人がシャワーを浴びる」状況に居合わせるというのは、ちょっと親密な状況でもないとなかなかないので、私個人の事例がそれほどあるわけではないのだが、日本人でも、日本人外でもそれなりにいることが経験則からわかっている。

シャワーから出てきた娘に、一人で喋ってたよね?と話しかけたら「え?しないの?」と、またしても逆に問われることになった。そして追い討ちをかけるように、「シャワーでひとりごとを言わない人はサイコパスだ」という理論を教えてくれた。tiktokでは常識なのだそうだ。

2020年夏 Vol.1

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コートダジュールパンプローヌビーチ(Pampelonne)も人がそれほどいない

17時間車を走らせて、ボルドーに住む小中高時代の友人に会いに行った。15年の間、現れては消えていたボルドー訪問が現実になったのはコロナのおかげかもしれない。長い休みには、日本や米国とか、欧州以外の遠くに行くことが多くて、いつも次はボルドーにと思いながら実現できてなかった。今回、2週間の夏季休暇の旅先を考えていた時、思い浮かんだ場所がボルドー だった。

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ベジに未来を見ているバイキング達

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Naturli'のCEO ヘンリク・ルンドさん
 
「未来を知る最善の方法は自ら創り出すことだ」
The best way to predict the fture is to invent it. 
 
コンピュータサイエンティスト、アラン・ケイのこの言葉は、私の尊敬する指導教官が事あるたびに言及していた言葉でもある。未来がどうなるのかなんて、誰にもわからない。どうなるか占ったり予想したりするより、自分で理想的な未来を創ってしまえばいいじゃないか。私の中では、コンピュータサイエンティストがコンセプトをつくる時や開発時の基本スタンスとして、この言葉を記憶している。 続きを読む

差別意識はどこから生まれるか

女性リーダたちの話は結構好きで、サンドバーグさんのLean Inも読んだし、ヒラリー・クリントンも、そして勝間さんも話題になっていた時に読んだし、津田梅子なんかからも影響を受けた。その後も、折に触れ本を読んだり、ドキュメンタリーをみたりしている。このコロナ影響下で、色々とドキュメンタリーをみたけれども、女性関連の映画やドキュメンタリも色々とみた。その中で見たミシェル・オバマのBecomingは実に衝撃的だった。
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デンマークの大学で雇用面接を受けた時の話

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大学でのキャリアを考えて何度かデンマークの研究職の公募に応募した。これは、その時の話。
 
第一関門は書類審査。大量の資料を準備する。典型的には、5本程度の論文、業績リスト、そのほかのリスト、なぜ応募したいかを書き連ね、推薦状を添付して提出する。たとえ、定期的に業績リストをアップデートしていたとしても、対象のポジションにパーフェクトに沿うように修正を加え、加筆する必要がある。私の経験では、すでにあるベース資料をもとに、申請書を仕上げるのに少なくとも1週間はかかる。
申請書類は、ポジションに応募する資格があるかどうかを(おそらく)複数人で評価している。その評価書は、なんと応募者に開示される。評価書は1ページ弱で、論文の評価、クラス運営に関する評価、研究業績に関する評価などが客観的に記されることになる。その評価書で面接に呼ぶかどうかを決めることになるのだが、書かれている内容について応募者は異議申し立てをすることができる。他の国で応募したことがないので、比較はできないけれども、とてもデンマークらしい。以前、他の候補者から異議申し立てがあったために再評価をする必要があるということで、面談時期が伸びたことがあった。
 
評価書において、応募資格を適切に満たしていると認められた人の中で、さらにふるい落としがあるようだ。面談に呼ばれるのは、3-5人と狭き門だ。
 
面談に呼ばれると、5-6人の教授陣の面接官が並ぶ中で、30分ほどの面接を受けることになる。学部長や授業担当、研究担当、そのほかの教授が並ぶ中、なんと現役の学生もいる。学生が教師を評価することは、デンマークの大学では普通のことだけれども、雇用プロセスにも学生の代表が呼ばれるわけだ。
 
事あるごとに、デンマークの民主主義の浸透度には驚かされる。明らかに、デンマーク社会の根底に流れる一つの思想として重要なものに「民主主義」があり、それを守るためにあらゆる場所に仕組みが根付いているのだ。「民主主義」はともすれば脆いものであるという認識があり、その脆さを補うための仕組みを社会のあちこちに根付かせている。その北欧が誇る政治の透明度も民主主義の原則から考えたらあるべき姿の具現化に過ぎないし、討論をしダイアローグを重ねるのも民主主義である所以だ。弱者となりがちな人の意見をすくい上げるための仕組みがあり、それを機能させるためのプロセスがある。最終判断を個人に仰ぎ、当事者意識を持たせるのも、民主主義に重要な観点だ。香港で長期にわたるイギリス統治下の際に積み上げられた「民主主義」は、暴力的な動きに発展しているようで懸念を覚えるけれども、声を出すということを諦めない香港の人たちの中には、まだかろうじて形が残っているように思う。
 
日本社会の根底には何が流れ、何が共有されているんだろうか?日本が未来に残していきたい柱はどこにあるんだろう。わびさびなんだろうか?忖度なんだろうか?