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北欧生活研究所

北欧在住11年。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

デンマーク国立公文書館が素敵な件

北欧デザイン学

f:id:jensens:20170330071137j:image日本の国立公文書館は、かつての母校(中高)があるエリア千代田区にある。今まで行ったことがなかったし、あることも知らなかったというのが正直なところだ。母校(大学)の教授が公文書館の館長になったりしたこともあったみたいだけれども、知らなかった。公文書館は、図書館の外交文書版、ぐらいにしか思ってなくて、なんのためにあるのかもよくわかってなかった。

そんな私が、ひょんなことからデンマークの国立公文書館を訪問する機会に恵まれた。整った管理体制と貯蔵施設、そして感涙もののデジタルアーカイブ。誇り溢れる館長始め職員たち。

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CoDesignチーム

北欧デザイン学

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社会にITや先端機器を導入するときに、実際の作成者の意図が伝わらなかったり、実際のニーズに沿わないことがある。そのような課題は、北欧でももちろん多々あって、そのギャップを埋めるために試みられてきていることが参加型デザインであったり、CoDesignであったりする。

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リビングラボの肝

北欧デザイン学

f:id:jensens:20170322020618j:image北欧に移り住み、はや12。はじめは、ストレスだった現地の習慣が、知らない間に自分の習慣になっていることに気づいて驚いた。自分では、日本の感覚を持ちつつ毎日の生活をしているつもりでも、改めて意識してみると、意外に「自分が変わっていること」に気づかされる。

文化は、気づかないうちに皮膚に染み込んでいく。同様に新しいマインドセットは、当初は違和感があっても、本質的な利点があれば、知らない間に根付き、意識しなくなくなる。導入が難しいと言われているIT関連事項でも同じだ。デンマークに住んでいて、当初はややこしいと思っていたNemIDや番号制度、電子政府やセルフソリューションも強制的に使わざるを得なくて、始めたものも多いけれども、今はなくては生活が成り立たない。

35年の長期的なタイムスパンで、考える参加型デザインの手法「リビングラボ」のキモは、関わる人の意識を変えることだ。つまり、一般に言われるように、単にコミュニティを社会実験の場にすることが本質なのではないし、時間を短縮するためであればマニュアル化することには、意味がない。たしかに、利害関係者を巻き込むための工夫、例えば一般人にデザインするプロセスに参加してもらうためのツールなどは充実しているから、そのためのツールとしてのマニュアルは役に立つだろう。だが、それだけではないのだ。

リビングラボのキモは、「変える」という志向性が、軸の一つになっていることだと思う。新しい考え方を意識的に取り入れていくことで、無意識的に活用できるまでに落とし込み、使っている人たちが知らず知らずのうちに社会変容をもたらしていくアプローチだ。無意識の慣れ段階にまで到達しないと社会変革は起きないんじゃないかと思う。

クラッチの踏み方を考えながら運転する運転初心者から、運転していていることを意識することなく、ギアシフトを意識しなくなるステージに移る感覚だろうか。運転に注力しなくて良いぐらいの「慣れ」が得られて初めて、景色を楽しみ、旅先の交流を楽しむステージに移って行けるのだろうと思う。

そんな場を作るには、デザイナは必要だと思っている。意識変革を促すデザイナだ。それが、リビングラボのデザインと考え、社会課題の解決を目指して、長期的な視点で、リビングラボに取り組んでいる。

時間はかかるけれど、急がば回れの心持ちで、未来に残るものを創り出すリビングラボのプロジェクト。同じようなモチベーションで、一緒にプロジェクトを進めたいという人が増えきている。嬉しいことだ。

男性を子育てにコミットさせる方法

北欧サバイバル生活 北欧デザイン学 北欧で育児と教育

f:id:jensens:20170316233652j:image最近、「デンマークの家族」とその変容に関する英語・デンマーク語の文献を読み漁っていて、デンマークをはじめとした北欧の家族の変容に改めて驚かされている。60年代以前は、できちゃった婚がすごく多かった(社会的に結婚せずに出産するということが認められていなかったから出来ちゃった時にかけこみ結婚するということ)社会であったにもかかわらず、今は、男性いらないという女性が種だけもらって出産するなんてこともよくあるケースだ。60年(1.5世代ぐらいで)でそれだけ変わったということに驚きを禁じえない。

そんなちょっと日本の先行く社会だからこそ、どうしたら男性が子供の面倒を見るようになるかとか、そんな研究も散見されてとても興味深い。文化差はあるかもしれないと思いつつも、アニマル人間としては、共通する部分もあるんじゃないかと思うのである。

例えば、女性は、男性に対して単に子供を認知するだけではなく、子供が欲しいという欲求を期待し、この欲求を「愛」であると認識するという。つまり、「子供が欲しくないってことは私を愛してないのねっ」「二人の子供が欲しいってことは、私をそれだけ気に入ってくれているんだわ」と女性は、考えがちなんだそうだ。

また、同じ研究でおもしろいと思ったのは、『女性の欲求の結果、子供を持つようになったカップルは、子育ては女性側が主要な担い手であるという認識を持ちやすいが、父親が子供を求めた結果、子を授かった場合には、子育てを平等に分担する(もちろん事例は北欧のケースなので、あしからず)』という研究結果だ。つまり、男側が「子供が欲しい」といった結果、子作りをすることになったケースの場合は、子供が生まれた後に、男性が子育てにコミットしているということらしい。

ただし、一般的に男性の方が少ない数の子供(1-2人)を求め、女性の方がより多くの子供を欲すると言われている(オーストラリアの研究だけれども)から、たとえ男性が子供が欲しいと言って家族計画を実施したとしても、女性と男性の子育てへの負担や義務感は、アンバランスにならざるをえないようなのだ。「俺は一人で十分だったのに…」とか。

このようなことが研究によって明らかにされつつあり、これらの知見は、少子化対策として活用できるんじゃないかと思う。例えば、国が子育て支援政策として女性支援やバラマキの代わりに、子供が欲しいという男性側のニーズが確認できるカップルを優先して育児支援するとか。

他にも、なぜ北欧の男性は子育てをするのかという疑問に、面白い視点が多々見られる。こちらは、また別の機会にまとめたいと思う。

デンマークのリビングラボ_2017

北欧デザイン学

 

f:id:jensens:20170312060808j:imageこの10日間ほど、機会あり北欧の様々なリビングラボに関わる人たちや場や、北欧のリビングラボに関心のある研究者と話す機会があり、「デンマークのリビングラボ」について改めて考えていた。リビングラボは、実際の利用の場を実験の場にしてユーザや関係各所を巻きこみ自分ゴトと認識させて、未来のシステムを共に創っていくアプローチで、今の私の研究の中心だ。日本でも近年注目されているみたいで、先週だけで日本から5件の問い合わせがあった。

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デンマークの医療は本当に悪いのか?

デンマークの医療 北欧サバイバル生活

f:id:jensens:20170314062732j:image待ちに待った病院でのようやくの検査(以前の記事:デンマーク医療にまたしてもやられた...ているデンマークの病院のサービスの質についてなどなど)は2016126日だった。その次の検査は、219日、そしてつい先日37日。さらに今後20日にはMRIの検査があって、春のうちに手術をしようという話になっている。

201653日にコペンハーゲン唯一の眼科グローストロップ病院で手術し。調子が悪いと病院にコンタクトを試みてから、すでに1年ほど経っている。初めに目に障害が出てきた2015年秋から昨年5月の手術に到るまで半年程、それからほぼ1年が経過しているから、約1年半、不安定な目の状態で過ごしてきたことになろうか。

私よりも、もっと大変な症状を抱えている人もたくさんいるのであろうけれども、この1年半程は今思い返しても大変だった。今でも状況は変わっておらず、毎日の生活が大変なことに変わりはないのだけれども、一度この時点で考えていたことをまとめておきたいと思う。

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私は、生き残れるか?

北欧サバイバル生活

f:id:jensens:20170304022922j:imageデンマークのDRという日本のNHKのようなチャンネルで、2ヶ月ぐらいかけて、Alene i vildmarken(荒野に一人っきり:超訳)という番組をやっていた。一種のリアリティチャンネルなんだけれども、設定がデンマークらしい。北ノルウェーの川べりに、お互いに見えないぐらいの間隔(15キロぐらいだったかな)で十人のチャレンジャーが送られ、一人で自給自足の生活をする。自然豊かなノルウェーの自然の中(冬も間近)でのサバイバル生活。

食事は持参することはなく、自分で獲得しなくてはならない。鹿もいるのだがどうやら狩りをしてはいけないルールで、川に生息する小魚と採集(ブルーベリーが主)で腹を満たす(満たせない…(。-_-。)。持っていけるものも限られているが、サバイバル道具をリュックサックいっぱいに持参でき、ナイフやら寝袋やら、最低限のものは一応持参する。

(この先ネタバレです)

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