北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

バスの値段

コペンハーゲンの交通機関は、ゾーン制を取っている。コペンハーゲン中心エリアは、ゾーン1か、2。ゾーンは、輪っかのように構成されていて、中央から遠くに行けば行くほど、ゾーン数が高くなる。

たいていコペンハーゲンエリアに生息する市民で、公的交通機関を良く利用する人たちは、定期券を持っている。これまたゾーンによって値段が違う。ゾーン2圏内に住み働いている人たちは、定期券もゾーン2で足りるが、ゾーン4にすんでいて、ゾーン2で働いている人たちは、ゾーン4定期券が必要。一ヶ月の定期券しか購入できないため、毎月買いに行かなくてはいけない。ちょっとめんどくさい。しかも、写真つきなので、なくしてもほかの人に使われたり、悪いことできません。

たまに交通機関に乗る人は、クリップコート(Klippekort)と呼ばれる回数券を使用。2ゾーンであれば、10回使えて、120Krなので、1回の値段は12Krである。一回券を購入しようとすると、19Krかかるので、値段がだいぶ違う。2ゾーンのチケットを使い始めてから(使うときに時間スタンプを押す)、30分は電車バスに乗り放題。つまり乗り換えごとにチケットを新しくクリップ(スタンプが押されると同時に、端っこが切断されるため?)する必要はない。

さて、本題。
Islands Bryggeを歩いていたら、6歳ほどの男の子が話しかけてきた。スカンジナビアの透き通るような白い肌にブロンドの髪。あどけない顔をしているこの小さな子。どこから、出てきたんだ?親も近くにいなさそうだし...。しばらく熱心になにやら言っていて、ボーっと聞いていた私。困った、何を言っているのかわからない...。何度か問答をして、ようやく理解した。どうやらバスに乗るために5Krくれ、と言っているようだ。家に帰れなくなったのか?と思って、どこに住んでるの?と聞くと、「あっち」と街と反対側を指差す。

ふむ...。思い出したのは、自分の小学生時代。定期券をなくして、飯田橋の駅で途方にくれていた私。どうしたら良いかわわらずに、しばらく呆然としていたのだけれど、突然思いついて交番に行った。「定期券をなくしました。家に電話したいので、10円ください」、という私に、交番のおまわりさんが電車賃(120円ぐらいだったか?)をくれた。結局次の日返しに行ったけれど、親切なおまわりさんだった。

お財布を捜して見てみると、10Krしかなかったので、それを、男の子にあげた私。なんだかちょっと頼りなさげな風貌をしていて、心配だったので「大丈夫?」「一人で帰れる?」とか、何かちょっと声かけて、さよならした。その後、歩き始めてふと気がついた。5Krでは、バスに乗れないぞ?!

振り返ってみると、ちょっと大き目チョビーな別の男の子が、先ほどの男の子に走りよっていく。静かな街で、なんとなく聞こえてしまった会話。「いくら?」「10Krもらった。」

一瞬の空白の時間の後、ようやく気づいた。これはもしかして、はめられた?あの二人の子供はギャングで、バスに乗りたい!などと言って、とおり行く人にお金をせびる...。

いや、しかし...5Krって、100円でしょ?小さすぎる額に、幼くあどけない子供。悪びれもない態度。これが、浮浪者(コペンにはたまにいます。5Krくださいって言ってくる人たちが。)やアメリカだったらまだわかる気はするが、小さな子供で、しかもデンマークで。しかし、なぜ5Kr?5Kr、10Krで何がほしかったんだろう。何が買えるんだろう?脅すでもなく、100Krくれ!でもなく、意図がわからない。友達同士の度胸だめしか?