北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

デンマークの環境ビジネス- 再生紙製造企業Dalum Papir A/S

以前、環境問題でデンマークが注目されることが多いという話をしましたが、今年12月にコペンハーゲンで開催されるCOP15を控え、今、デンマークでは、猫も杓子も環境です。政府の白書もグリーンなら、IT もグリーンITで、以前発表された税制改革案もグリーン税制と呼ばれ、環境に配慮した政策となっています。お祭りになっている点もなくはないのですが、80年代から環境問題に取り組んでいる企業も多く、注目に値する企業が、驚かされるほどたくさんあることは確かです。

中でも、最近面白い世界企業として注目しているのが、Dalum Papir A/S 。Dalumは、100%再生紙を生産販売してる企業で、2007年には、工場の発電機に45MWのバイオ燃料ボイラーを導入(Press Release)し、世界で最もCO2排出量を抑えた製紙製造工場となりました。Dalum papirは、ヨーロッパにおける高品質再生紙市場で一位、2006年時点で、9300ユーロの売り上げ310人の社員が働いています。ヨーロッパ、アジア、米国の23カ国に製品を提供しているとのこと。

Dalumは世界的に環境に配慮した企業として名声を得ています。古紙100%を用いるばかりでなく、製造工程においても100%エコを目標に謳っており、生産すべての工程が、環境に配慮されているのです。なんとインク排除工程の副産物も再生可能、生産工程の排出もほぼゼロ、分離されたインクは、セメント原料として使われ、紙の残りは、街の暖房装置に使われ、6回リサイクルされ利用された水は、更に浄化されて川に戻されます。2007年のバイオ燃料ボイラー導入により、更に環境フレンドリーな製紙製品として認識されるようになりました。Dalumの公開資料によると、一般紙との比較で、CO2排出量90%減(紙生産一トン当たり、CO2排出は300kg)、エネルギー消費60%減、水排出を100%抑えることになると公表されています 。直接的・間接的環境への影響を記したレポートも毎年公開され、世界で最も環境フレンドリーな製紙企業として、エコな人の多いデザイン界で名声を確立しているようです。
Dalum製品を使うことで、より環境へやさしい製紙を利用としているとの宣伝にもなるため、SCR(企業の社会責任)を高めることができると、Toyota、Deutsche Post, WWFを始め、利用する世界的有名企業が増加しているんだそうです。

Dalumの工場に見学に行った人の記事がこちらDalum paperで、見られます。記事は、英語ですが、リサイクル工程の写真が豊富で秀逸です。再生紙産業は、どうやら、大きく分けて、インク排除工程と紙製造工程からなるようで、MaglemølleとDalumという二つの工場が、それぞれの工程を担当しています。Maglemølleで、回収された紙のインクや糊などを排除して繊維にし、Dalumで再生紙を作り上げます。Maglemølleは、コペンハーゲンの南西のNæstved にあり、Dalumは、アンデルセンの生まれ故郷オーデンセにあります。原材料となる古紙は、デンマークばかりでなく、ドイツ・南スウェーデンから送られてくるようです。