北欧生活研究所

北欧在住13年。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

精神が病んだら行く場所

最近、新築が予定されているコペンハーゲンのある建築について、機会があって調査している。イメージとしては、こんな感じ。何の建物だかわかるだろうか? f:id:jensens:20170805224251p:plain

コペンハーゲン首都圏地域の大型病院の一つビスペビア病院では、現在、複数の救急病棟、精神病棟の新設、幾つかのリノベーションプロジェクトが2025年までの完成予定で進められている。イメージ画像は、その中の一つである精神病棟新設プロジェクトの建築予定イメージである。この精神病棟は、デンマーク国内で2番目の規模を誇る精神病棟となる予定だ。今後、2018年に建設が開始され22年竣工予定となっている。

精神病関連について知らないことが多すぎて、新病棟において何か特徴的なのかよくわからないことも多かったが、確実に先進的だと思わされたのが、病院らしくない環境づくりをしているという点だった。中庭があるとか、病室は全て個室だとか、公共空間にもちょっと一人になれるエリアが用意されているとか、サーカディアンライトが全病室に導入されることになったとか、監視されている感がなるべく少ないような造りだとか...。病棟デザインで工夫されている部分をよく読み込んで見ると、他の病棟やフロアに行かれないようになっていたり、保護室といって隔離部屋のような場所が各フロアに設置されていて、仕切りをすることで他のエリアから隔離できるようになっているだとか、精神病棟らしい工夫がされている。

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精神病は日本でも世界的にも増加の一方だという。自分が鬱になる確率もあれば、家族や愛する人が精神病になる可能性もあるわけで、そんな時に、治療を目的に行く場所がどうあってほしいかということを考えて見ると、美女と野獣で出てくるような精神科医みたいな医師のところでもなく、ダスティン・ホフマン演じる映画に出てくるような精神病棟のようなところでもなく、こんな場所(写真参照ください)だな、と思うのである。

いろいろと追加で調べていて、中でも興味深く思ったのは入院日数の違いだ。私は、日本の知り合いで精神病関連で入院していたり患っている人を知らないので、全く状況を知らなかったのだが、2016年の厚生省統計によると、日本の一般入院平均日数は29.1日の一方、精神病入院平均日数は274,7日と、結構入院期間が長い。そしてデンマークでは、入院平均日数は3.5日(これはEU平均も下回る)の一方、精神病入院平均日数は39日なのである。1年入院するのが普通の日本と、1ヶ月が平均のデンマークの精神病院、何が違っているんだろう。そして世界の人口の約2%を占める日本は、世界の精神病の病床数の30%を占めているって、それだけで何かがおかしいってわかる。

折しも日本の精神病院で拘束されて他界したニュージーランド人のニュースを聞いた(外国特派員協会の模様(動画))。神奈川県の大和病院で、「暴れてもいないのに」暴れる可能性があると判断され、家族の反対を押し切って身体拘束され、 仙骨部に9センチもの褥瘡ができ、その後、心肺停止状態で看護師に発見されたのだそうだ。

デンマークの精神病棟の調査は、「病院設備」という雑誌の記事になる予定で、誠意執筆中。おそらく9月頃に出版になると思いますので、乞うご期待。 f:id:jensens:20170805231537p:plain