北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

忘れられた予防医療

f:id:jensens:20170927010845j:imageデンマークでは、ストレスが溜まっている人は、医師の診断を持って有給で病欠をとることができる。デンマークのストレス団体(Stressforeningen)によると、デンマークでは1日あたり3万5千人がストレスで会社を休んでいるんだそうだ。

 先日、旧友と話していて彼の一言に衝撃を受けた。「鬱になってからじゃ遅いんだよ。」うつ病の治療はとても困難で、鬱になる前に、ストレスを溜め込まないための方策を取らないと取り返しがつかないということだ。えっと...、では、日本では既に時遅しの人がたくさんいるってことかな。

f:id:jensens:20170929041228p:image 友人は数年前に起業し、現在ではsumondoのCEOとして、デンマーク地方自治体、精神病院やストレス対策関連団体、患者団体なんかと一緒に、ストレス対策アプリの開発を進めている。ユーザや関係者を巻き込んだ協創による開発をすすめるまさにデンマーク的なデンマークの会社。

数年前に、ストレスレベルがわかるという「ストレストラッカーのアプリを作ったっ」と見せてもらった時には、どこかの宗教団体じゃないんだから…、と正直思ったのだけれども、新しいツールを見た時に、これは行けるかもしれないと思った。Sumondoのウェブサイトのブログに詳しいが、健康のためにはストレスを長期にわたって溜め込まないようにすることがまず大切で、ストレスを感じた時には息抜きが不可欠だ。科学的にも立証されているいくつかのステレス解消方法があるのだが、新しいツールでは、それをサポートする仕組みをストレス・トラッカーに付随させている。そこで提供されているのは、何も難しいことではない。深呼吸、瞑想、音楽。そして、ツールには含まれないけれども、自然に触れることも解消方法となる。日本の友人がすすめる森リトリートはリーダー研修なだけではなく人間として幸せに生きるための仕組みを提供しているとも言えるわけだ。

デンマークには、毎年の健康診断とか、日本では常識のいわゆる予防医療につながることはほぼ実施されてない。これは、デンマークに住む日本人は誰でも驚く点だが、そんな予防医療に国はお金をかけられないよ、という表明なんだろうと。ただ、いわゆる現代病、新しい疾患である「ストレス」に関しては例外的に世界の先端をいっているようなのだ。精神疾患という目に見えにくいところに予防医療が入りこみ、結果的に精神病患者の発生や、長期治療を回避することにつながっているように思える。

ちょっとストレス溜まり気味かも、とか、うつになる前にどうにかしたい、と思っている人がいたら、ちょっとした隙間時間にでもこのCEOが書いているBlogを読んでみてほしい。英語だけれども、とても綺麗な英語でわかりやすく書かれている。