北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

デンマークにも訪れるAI診断の波

f:id:jensens:20171002032239j:image最近、良い機会をいただきデンマークの医療とITに関連してデンマークの先端地域や機関の第一人者、関連スタートアップ企業の話を聞くことができた。その中の一つ、オー デンセのHealth Innovation Center of Southern Denmarkを訪問した際のこと。

 様々な医療に関わる分野にITが入り込んでいるのは多くの人が知っていることだが、オーデンセでも、すでに乳がんの患者の診断をIBMのワトソンが行なっている(最終診断は医師が下す)とのこと。流行りに乗っているだけ、ちょっとチャラい.(死語?)..と初めは思ったのだけれども、ワトソンを始めとしたAIや先端的な複数のバイタルセンサー, VR, ARなどが、今後医療を大きく変える可能性を大いに秘めていることが、色々と現在の医療とITの潮流を見ているとわかってきた。今見ておかなくて、いつ見るの?という緊迫感がある。

そんな先端的な技術が導入できるかどうかは、結局は社会の仕組みに依存するんじゃなかろうか。つまり、たとえ技術があったとしても、それを導入できる社会の法律などの仕組みと、採用の判断を下せる先端的な視点を持っている人が必要だ。

今、参加型デザインの流れが医療の分野にも入り込んでいる。医療分野における参加型デザインは、多くの患者に新しい病院や治療の姿を一緒に模索してもらおうという試みだ。この患者に参加してもらうというプロセスは、すでにデンマークの病院建築には、積極的に導入されている(例えば、拙稿の『精神が病んだら行く場所』で示した精神科病棟では、患者グループが建築デザインのメンバーに加わり、患者にとってどんな建築がいいか意見を寄せる仕組みが出来上がっている)。さらに、医療における診断や治療方針も一緒に考えて(参加して)もらおうという流れは、明らかに「先生のご指示に従います」という日本の従来型の診療と治療とはだいぶ違う。それは、患者自身に権利を与えるという以上に、他人(医師)任せにせず自分の人生を自分で選ぶということで、患者にも責任も与えるということだ。医療知識ばかりでなくITや別の知識が治療に影響を与える現在、医療関係者の独壇場が今やなくなり、一緒に最善策を考えていく必要が出てきているということがわかる。

フォーブスの記事を読んで、また、最近の自分の経験から考えた。自分で自分の病気に責任を持たないと治療できる可能性を見逃してしまうことになる。医師は神ではないから。

「テクノロジーの集合」が今、医療界で起こっています。嵐のような劇的な技術の進化は、「患者」の時代の到来を意味しています。「患者」中心のケアというだけでなく、「患者」自身が采配する医療の時代です。

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