北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

日本のいいものはどうしたら生き残れるだろう?

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デンマークのいいもの

やっと論文の修正が終わった。正味、2週間ほどかかった。大好きなトピックで数年前からかなり真剣に構成を考え、過去関連論文を漁り、丁寧に書いていたつもりだったけれども、なかなか日の目を見ない論文。もしうまくいったら、年明けには発表ができる見込みだ。

 

今回の論文のトピックにはかなり思い入れがある。簡単に説明すると、「日本の伝統工芸における暗黙知のマルチメディアを使った外在化」の話。日本の消えゆくクラフトのスキルをいかにITで支援するか、知識をITでいかに可視化させるか、そしてそれをいかに継承可能にしていくかという話。今までの自分が扱っていたドメインとはかなり違うクラフト文化に踏み込んだ内容で、知識管理に関しても詳しくはない門外漢だ。とはいえ、扱っているうちにトピックに対する思い入れがどんどん深くなり、学術論文ではあるけれども愛おしく思いながら書いていた。

自分がこの分野に足を踏み入れかけていることに、まだ時折躊躇する。ただ、タイミング良く似たような話が次々に流れ込んできて、覚悟と決断が必要な段階になってきている。日本の伝統工芸や技術が斜陽気味になっていることは知っていたけれども、現場を見たり、継承者がいなくなっていることを直接聞いたりする機会が増えるにつれて、真剣に考えざるを得なくなり、何かしたくなってきたというのは正直なところだ。同時に、伝統的な技術を残そうと国を挙げて支援している北欧のクラフトの状況を知るにつれて感じる我が国日本の状況へのジレンマ。きっかけは、この論文執筆であり、そして博多織や金唐革紙(修復士という仕事)にちょっと関わったことだけれども、そこから思いがけない広がりを見せている。

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「日本のいいもの」


研究トピックになるか、自分の飯の種になるかはわからないけれども、何かできることがあるんじゃないかと思い続けて、そして仲間を得て、今、少しずつ動き始めている。北欧に住んでいてもできる、住んでいるからこそできる、日本の伝統工芸を中心としたいいものを支援するプロジェクト、そのうちドーンと打ち上げます。

乞うご期待。