北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

サバイバル生活

デンマークにいると,サバイバルという言葉が身近に感じることがよくある.一応デンマークは,先進国でもあるし「サバイバルしなくちゃいけないレベル」的には,中の下〜下の下レベルぐらいなんだろうけれど(上級はアフリカの奥地とかブラジルの奥地とか…),デンマーク人をみていると何かが起こってもこの人たちは生き残っていくんだろうななどとふと考えてしまう.たとえば,2011年3月11日.急に交通網,エネルギ,電気も途絶えて東京は麻痺した.都市にいて,都市の機能が麻痺し,トイレも流れなくなり,ガスもでなくなり,ガスがないから車も走れない.同じ状態に置かれたらデンマーク人はどうしていたんだろう,って考えてしまうのだ.多分,デンマーク人は,テントを張り出したり,炊き出しを始めたり,歌を歌ったり,…どうも,大変な事になる気がしない.
こんなことを考えたのは,幾つか理由がある.森のようちえん(正確にはUdhytteなので,ずっと外にいるわけではなく幼稚園舎はある)に行っていた娘が,気がついたら,色々とサバイバル能力をつけていることに気づいたから.娘は,屋外で主に時間を過ごす野っ原のような幼稚園に毎朝1時間バスで通っていたのだが,噂にたがわず風邪もひかず病気にもならない健康な元気な子供に成長した.なによりも,娘は,火が起こせるし,火を起こすために必要な木をとってこれるし,食べられる葉っぱや触っちゃいけない葉っぱなども知っている.外でのトイレだってお手のもので,散歩(デンマークでは2時間程度のハイキングを「散歩」という)に行く時には,いつのまにかきちんとカバンにトイレットペーパが入っている.
もう一つの理由は,引っ越しして色々と考えさせられたから.それほど修復が必要な家に引っ越したわけではないのだが,それでも,壁のペンキ塗り,床の貼り替え,下水管に張った根っこの処理,などが必要になった.これは,私にとっては,まさにエポックメイキングとも言える「こんなことまで自分でするの?」というレベルだったのだが,デンマーク人的には普通らしい.不満たらたらで,いかに引っ越しが大変かという話をすると,デンマーク人には決まって同等かそれ以上の「私の時の話」を聞かせてくれるからだ.
つまりだ,建築の専門家ではなくても,デンマーク人のなかには,まだまだ自分で家を建てられるぐらいのスキルを持った人がいるということだ.キッチンを入れ替えたり,お風呂を自分で改装したりなどの話はよく聞くから,そうなんだろうなとは思っていたけれど,自分の身近でコトが起こると,当たり前だがより実感を持って,いかに大変か,いかに時間がかかるか,それでも皆やる.ということが身にしみてわかる.
さて,床の貼り替えが終わり,ペンキ塗りが終わった現在,次のプロジェクトは,地下の太いパイプを小さい最新の菅に変え,壁に埋め込むことらしい.果たして,どうなることやら.