北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

教育のあるべき姿

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フィンランドの学校で使われる教育マテリアル

我が家の子供2人は、平日はデンマークの現地校に行き、週末は正味3時間ほどの日本補習学校にいく。日本補習校では、日本の教育指導要領に基づいた教育が日本の認定教科書を用いて進められる。国語と算数だけとはいえ、日本での1週間の教育を3時間ほどでやるわけだから、学校・親・子供共に負担は大きい。

 先日、ふとした思いつきで、日本の学校も夏の帰国で経験している小学5年生の娘に、日本の学校デンマークの学校の違いを聞いてみた。以前、日本補習校の先生から、娘が「問題ができなくてクラスで泣いた」ことがあるということを聞き、ちょっと気になっていたことも背景にはある。

本の学校は、みんなが同じ問題を同じ時に、同じようにやるでしょう?それが違う。

よくわからずに、改めて聞いてみると、次のようなことだった。デンマークの学校では、例えば算数の授業では、カーン・アカデミーなどを使って、個人が自分のペースで問題を解く。今、進めているのは、5年生の課題。5年生の課題を終わった人は6年生の課題を進めているし、4年生の課題がまだ80%ぐらいしか終わってないからそっちをやっている人もいる。基本的には順番にやるんだけれども、飛ばしたり別の好きな課題をやってもいい。「だから(友達の)マイラは、昨日は中学生の問題をやっていたよ。図形が好きなんだって」。だから自分にとって難しい問題には時間をかけることもあるし、復習することもある。好きな問題を先にやることもあるんだそうだ。

本の学校は、皆で一緒にやるでしょう。で、問題ができないと悲しくなっちゃうの。わからないと思うとドキドキしちゃって、もっとわからなくなっちゃう。みんな違うんだから、みんなが同じように、同じスピードでできるわけないのにね。なんで一緒にやるんだろう? 

子供をデンマークで育て始めて、私の教育に関する考え方はかなり変遷を経ている。デンマーク教育の懸念から始まり、やっぱり今の社会でサバイバルするためにはデンマーク教育はいいのではと思い始めた時期を経て、今は、ベースとしてはデンマーク教育や課題ベースの教育方法に賛同するものの、学習への姿勢や基礎学力の定着という意味では緩すぎるデンマーク教育の場にサプリメントをどう注入するかを考えている。

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先生の授業を聞いているのは数人のみ。あとは、自分個人で勉強したり、グループで勉強したり。

繰り返し学習や記憶学習は実はデンマークでも実施されていることがわかったし、各個人は違う特徴や興味や得意・不得意がある。娘とこの話をしてから、日本のクラスでの教育の方法がものすごく不可思議なものに思えてきた。なんのための教育だろうと考えると、洗脳をしたいのでない限り、このIT全盛の時代に、1から10まで足並み揃えて学習する必要はない。