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北欧生活研究所

北欧在住11年。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

デンマークは汚かった?!

北欧で育児と教育 北欧サバイバル生活

デンマークで子育てを始めた時、子供の体脂は産んでからしばらくそのままにしておく(軽く拭いたりはするけど)とか、乳幼児でも風呂は週に一回以上は入れるべきではないとか、日本との常識の違いに大いに驚いた記憶がある。その時は、風呂に子供が毎日入らないのは、乾燥している地域であり、汗もそれほどかかないし、(多分)皮膚も汚れないから、毎日風呂に入るのは逆によくない、身体の新陳代謝に沿うべきだという説明に、ふむ、そうなのかもしれないな、と思わされていた。

昨年末にたまたま本屋でブラブラしていたときに見つけた「図説 不潔の歴史をようやく読了したのだけれども、今はデンマークの常識にまったく違う理解を持つようになった。つまり、ぶっちゃけ欧州人(書籍では米国との比較で主にフランス、イタリア、英国など西ヨーロッパが描かれているが、北欧も似たようなものだろうと推察される)の衛生感覚や水に対する認識は発展途上であるということだ。

図説 不潔の歴史には、水が嫌悪されていたことや信心深い人ほど身体の衛生に無関心であるべきと考えられていたことなどが描かれそれだけでも驚きの連続であるが、キリスト教の歴史や史実が現在の欧州人の生活にいかに繋がっているか、改めて考えさせられた。水の代わりにワインを飲むとか、ワインで体を洗うとか、欧州人の(昔の)習慣は理解に苦しんでいたのだけれども、そんな宗教の授業で見聞きしたことや毎日の生活で疑問に感じていたことで、ようやく腑に落ちたことが多々あった。フランスの油脂が含まれるボディスクラブやオイルで体を洗う習慣なども、きっと皮脂をとりすぎないようにと考えているんだろうと、勝手に解釈していたけれども、今では、これもおそらく古き習慣(汗腺を塞ぐのが良い)から来ているように思える。

子供の学校(デンマークの私立学校)には、週に一度体育の時間がある。そのときに子供達はたいして汗もかいてないだろうけれども全員でシャワーを浴びる。この習慣に関しては、子供のうちは男女が互いの裸を見るべきだとか、理解不能の説明をデンマーク人からもらっていたのだけれども、図説 不潔の歴史によると、このセッションが導入された1920年代は、衛生感覚(病気予防につながる)を学習させるのに両親(水に関して嫌悪感や恐怖を抱いている)を説のではなく、子供から始める(風呂の習慣をつけさせる)という政治的戦略だったということだ。

フィンランドには、古くからサウナ(汗をかいて皮脂の汚れを落とす)の歴史があるし、出産などもサウナで行われていた(西欧州より衛生的な処置に思える)などと聞く。おそらく、欧州とひとくくりにしてはいけない様々な違いが欧州エリアにもあるだろう。また、日本や米国は、衛生的であることにこだわりすぎ、弊害が生まれているともいうから、洗えばいい、衛生的にすればいいというわけではないことは確かだけれども。

口頭試問、再び

北欧で育児と教育 北欧デザイン学

f:id:jensens:20170211174554j:image9月に始まったデンマークの大学の冬学期は、12月末から1月中旬まで続いていたテスト週間を経て終了した。来週からは春学期が始まる。いつも以上に晴れ晴れとした気持ちで春学期を迎えることができるのは、この冬学期の「個人プロジェクト; IT for Parenting」で受け持っていた数人の学生のうち、とてもよくやってくれた一人の学生がデンマークの成績評価の最高点12ポイントを取得することができたからということが一つ大きい。

成績評価はレポートと口頭試問で、定性プロセスが多いプロジェクトで私がよく採用するスタイルだ。口頭試問に関しては、今までにも苦渋の経験がある。授業を受け持つ教師だけでなく、外部の評価者と二人で評価をするので、14週間頑張っていた学生が低評価で、適当に課題をこなしていた学生がより良い成績になったりすることもある(以前に執筆したデンマークでの口頭試問の受け方参照)。デンマークでは、出席率での評価や授業中の課題での評価はしてはいけないことになっており、ほぼ全てが最後の一発勝負になる。事前に指定された評価項目(中間発表への出席とか)もあるにはあるけれども。

今回のケースでは、一人の学生は、お願いした外部評価者(センサー)からも12ポイントの最高評価となり、口頭試問の最後にポイントを提示した時の「信じられない!!」という学生の顔が忘れられない。

前回の後悔を繰り返すまいと、今回、センサーに対して戦略的にやったこと、学んだことがある。

  1. 事前にセンサーとの関係をメールベースででも築いておく。
  2. 当日、プロジェクトの目的とタスクについて説明を怠らない。
  3. 自分の学生のレポートに対する評価を、明確に述べておく

今回のセンサーは、私の評価もきちんと聞いてくれる人で、初めは10と言っていたところ、「確かにプロジェクトの目的と、単位数と、時間を加味すると、このアウトプットが出せるならば、12をあげても良い」に変わった。レポートがなぜその評価なのかということをきちんと教師側が議論する必要があるというのは不思議な気もするが、定量的に測ることができるマークシートなどの評価とは、違う論理が必要になってくるということもわからなくもない。

ちなみに、デンマークの成績評価は、7グレードあり、スコアは最高が12で、"素晴らしい。あったとしてもマイナーな問題のみ"という評価。その次は10, 7, 4, 02と続く。それより下の評価は、グレード00, -3で、落第点だ。デンマークらしからぬと思うのだけれども、この評価は、欠点探しの評価とも言え、全ての学生は"12"ポイントという素晴らしい学習の結果を見せるという前提のもと、できない点を差し引いていくという形をとる。

ちなみに、デンマークで元から取られている評価基準を世界標準の成績評価(A, B, C, .... D, E)に合わせるために、不可思議なポイント00, -3などが出てきているということだ。

 

継承語と多言語多文化教育

北欧で育児と教育

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(写真: デンマーク図書館。図書館は学習する場所、身体性を生かした学習も含まれる)

どうやら日本語を「継承語(Heritage Language)として学ばせる」という動きが、世界各地に住む日本人の中で見られるようになっているらしい(正確には日本人だけではなくてカナダや米国など筆頭に多言語多文化環境の様々なところで見られている)。夏にデンマークに来てくれた茜ちゃんが米国で継承語クラスを実践し、フランスに住む中高の友人が時折呟いていて、最近、気になっていた。

この継承語、「親から受け継いだ言葉」が一般的な定義となっているようだが、日本語を、自己のルーツを継承することを目的とした言葉として学ばせることとでも言えるだろうか。例えば外国に長期滞在/永住する日本人(よくあるのがパートナーが外国人)が、自分の子供(よくあるパターンがハーフの子)に日本語を学ばせたいとする。今までは、多くの人が子息を日本人補習学校などに行かせていただろう。ただ、これにはいくつかの課題がある。

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家系学とクラウドソーシング

f:id:jensens:20170120233514j:imageGenealogyという言葉をきいたことがあるだろうか。系図学とか系譜学とか訳されるようだが、「家族の家系を明らかにし家系図を作成する学問」とWikiには記載されている。先祖探しを紐解く鍵としては、家に伝わる古文書などがあればいいのだけれども、国勢調査などの公文書も非常に重要な情報源になる。

デンマークでは、近年趣味人が自分の家系探索をするといったことが流行っているらしく、デンマーク国立公文書館(The Danish National Archives)には、その趣味グループが定期的に会合を開いているんだそうだ。

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拡張参加型デザインとリビングラボ

北欧デザイン学 日記

f:id:jensens:20170117205249p:plainフィンランドのアールト大学で参加型デザインの研究をし、現在は、オウル大学に移っているヨハンナさんが「拡張参加型デザインExpanded Participatory Design」と題して研究発表をした。彼女が言っているExpanded Particpatory Designというのは、ITシステムを市民を巻き込んで構築する(トップダウン)ばかりでなく、アクティブユーザが作り上げる自律コミュニティ(citizen self-organization)を中核として、その後の使い勝手の改良をも進めていっているようなコミュニティにおける自律的参加型デザインのこと。公式な(研究資金をもらって進めているような)ITプロジェクトから自律的、かつunofficialITプロジェクトになっている事例をあげて、Expanded Participatory Designと呼んでいる。これは、user-drivenと言い換える事もできるだろうか。そのような自律的なITサービスやシステム開発をどのようにICTで支援できるか、これは今後もとっても重要になっていくことだろう。

自律的に始まったものの例として挙げていた中でもCleaning Day(Homepage - Siivouspäivä)の事例が面白かった。初めはイリーガルに行われていたHelsinki市内での物々交換販売フリーマーケットが、フェイスブックやメイルチンプなどのITのサポートを受け、最終的には市にもサポートされるようになり、自律運営が継続されているというものだ。

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IoTと倫理観

北欧デザイン学

f:id:jensens:20170114223753p:plainITUの研究者が、CIIDほか2大学と共同で取得した3年間のHorizen 2020 EUプロジェクトVIRT-EU | ETHOS;Ethics and the internet of Thingsのキックオフイベントが実施されて参加してきた。

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噂のアレを見てきた

日記

f:id:jensens:20170106212112j:image周囲で噂になっているアレを、子供が寝た後に旦那と二人で見に行った。シリアスなファンが、コスプレして、何十時間も待ち行列をつくるアレだ。前回はコンピュータサイエンティストの旦那と字幕なしでアメリカで見た。全然わかんなかった。前々回は、昔の彼氏で投資銀行で働いていたフランス人と、パリで見に行った。新しく作られたシアターで、迫力の大画面と音響設備で、そしてフランス語字幕で。場所以外、何も覚えてない。エピソード5も6も、父に連れられて、いとこたちと映画館で見た(気がする)。オープニングしか覚えていない。

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