北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

EU圏内の移民 Mobile European

統一経済、通貨の統一などから、EUの国境が薄れるに伴い、EU圏内での市民の移動が増加傾向にある。しかし、異なる社会システムを持つために、移動には多くの障害が伴う。EU内のmobile Europena対象に移動時の負担をなくすための情報システム構築が進められたプロジェクトで行われた調査から見えてきたのは、想像以上に多種多様に渡る社会システムであった。これは、EU市民以外の人々が、国から国へ移動する時に直面する問題でもある。日本人が、スウェーデンデンマークに移動する際にも直面する問題であり、他人事ではない。皆同じ問題で苦しんでいるんだね....

【出典】[Oostveen 04] Anne-Marie Oostveen & Peter van den Besselaar, From Small Sccale to Large Scale User Participation* A Case Study of Participatory Design in E-government Systems, Procc. Participatory Design Conference, pp.173-182, 2004 (Participatory Design Conference)



5つの問題
administrative service(自治体サービス)に伴う時間的制約:
パスポートや提出書類、情報提供のために、何時間も列に並ばなくてはならない。該当市民本人が、多くの場合複数回、自治体オフィス訪問しなくてはならない。 "登録するのに3回も外人窓口に行かなくてはいけなかったよ。朝早くにオフィスに行く事を進められて、列に並ぶように言われたんだ。ドアが開くと、一定の数の人が入る事を許され、残りの人はまた次の日来るように言われる。はじめは、遅すぎた。二階目にいった時には、はじめは市庁舎に行かなくては行けないと言われた。3回目にようやく登録できたよ"
private sectorでの問題:
例えば、電話会社との問題。"私は、まだ、スウェーデンで市民登録していなかった。電話を登録するまえに保証人が必要だったんだ。上司が保証人になってくれたけれど、電話会社は、銀行からの6か月の証明書が必要だと言う。でも、私はここに着いたばかりなんだよ?!"
車を入手するのも非常に問題が発生しやすい。"もしあなたが外人で、イギリスに引っ越してきた場合、自動車保険を手に入れる事ができないんだ。自動車保険をUKで手に入れるには、2年間のUKでの運転経験がないと行けないからね。はじめの2年間は、非常に高額になる"
銀行登録も大変である。"大抵、現金証明カードが必要になる。何かお店で買う時には、この証明カードが必用になるんだが、UKで既に銀行口座を持っていなければ、やはり6か月の間このカードをもらう事ができないんだ。"
外国の社会システムの状況が把握できない:
移動先の社会システムの状況がわからないことも大きな問題である。どこかに行けば情報が手に入る事は分かっているが,どこに行けば良いのか、どこで捜せば良いのかが、はじめは非常に困難である。実際のところ,友人や同僚の支援が助けとなる。新しい国では、Social Networkが第一の助けとなる。
法律やその他のルールが頻繁に変わる:
組織内でも登録方法や法律の改変など、すべての情報を把握してる事は非常に困難である。"ウェブサイトがあり、労働局、法務省、移民省などとうまく連携しているが,足並みを揃えるのは非常に難しい。法律はすぐに変わるし、その他の条件が非常にイライラさせる。地方自治体によって登録方法が違うんだ。"
様々な国営のシステムが異なる方法で運営されている:
国内でも異なるルールがそれぞれの市で採用されている。例えば,"イタリアでは,Turinではnon-italian市民は保険証は毎年更新される事になっているが,Ivreaではそうではない。住む場所によって居住権の更新は5-10年の間になっているんだ。"

mobility Eurpeanの内訳は,女性45.1%、男性52%、25-34歳が最も多く65%を占める。73.5%がフルタイムで雇用されており,12%が学生である。仕事が第一の理由となっており,女性は19.6%が、パートナーと一緒になるために移民している。
多くの場合、問題は、private sectorで発生している。内訳を見ると、居住、銀行,税金が主要問題として挙げられている。公的/政府団体は概して援助の手を差し伸べず、一般企業は,多くの問題に対する支援が見られた。