北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

2015年、デンマークの国政選挙概観

ほぼ満期が近づいてきた2015年6月、国政選挙が実施された。満期の2015年11月まで、のこすところ数ヶ月だったのだが、再選を狙うヘレ・トーニング首相は、程よいタイミングを狙い(かつ夏休みにひっかからないように)、5月末に、総選挙が告示された。

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政権交代の確率は高いと見込まれていた今回の解散総選挙。とはいえ、直前には、現政権の優勢が伝えられるなど、接戦、混戦模様となり、当日の開票結果が注目された。
結局、政権交代となり、「働く人により恩恵」を、という自由党陣営が、連立で過半数を取得した。現政権の社会民主党議席数を伸ばしたものの、連合を組む社会民主陣営の他党が伸び悩み、政権交代と相成った。
デンマークでは、1政党では過半数に満たない状況が続いており、ほぼ連立が基本となる。だから、1党が頑張っても政権は取れず、仲間の政党が共に議席数を確保しないといけない。
 
ところで、今回の総選挙では不思議なのことが、いくつかあった。

もっとも驚きなのは、デンマーク国民党という政党(党首クリスチャン・チュールセン・ダール氏)が、野党陣営で自由党を抜き、最大政党となったこと。この政党ってネオナチと言われていることもあるほど、(特にムスリムに対する)差別的発言が続く政党だ。支持を伸ばしていることは、選挙前から明らかだったけれども、本人たちも得票率が伸びすぎて驚いていたんじゃないだろうか?

昨年の選挙では、注目されていた急進自由党という政党は、ほとんど見る陰もなかったし、社会人民党というこれまた数年前までは注目されていた党も、それほどプレゼンスが高くなかった。私だけかもしれないのだけれども、この2政党は、今回の選挙戦で何をやっていたか記憶に残っていない。よくも悪くも、前回の選挙では、2党の党首のアクが強く、主張をきいているだけで、興味深かったことを思い出す。同時に、デンマーク国民党は、持ち前の発言力(?!)政策提言で、物議をかまして、プレゼンスは非常に高かった。
注目されるには、政党党首のアピール度が不可欠なのかなと思った今回の国政選挙である。