北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

20代へ

20代から35歳ぐらいまでの間は人生においてとても重要な時期である。人生が長くなった現代においても、重要な時期であることには変わりない。3歳までのアタッチメントや家族との繋がり、遊びが大切だと言われるのと同じように、成人の人生にも大切な時期がある。それが20代の時期で、この時期に人生の基盤(物理的基盤:どこに住むか、パートナや家族:誰と人生を過ごすか、仕事:何をするか)を整えておかないと後で取り返しがつかないことも多く、挽回できたとしても何十倍もの苦労が伴うことになる。

 例えば、特に女性にとって、子供を40代でも産めると言われるけれども、35歳を境に可能性はぐんと下がるのは生物学的事実だ。40代で子供を産みたいのであれば、その前に、パートナーを探し、安定した仕事を持ち、安定した仕事子育て環境(住居)を模索しておかないと子供を産み育てるという一大イベントをこなすことなんてできない。さらに、それなりの苦労とお金が必要になることはほぼ間違いない。50代で出産する人も出てきているようでニュースにもなっているが、「へー、50代でも可能なんだ」と思う前に、よく考えなくてはいけない。子供が成人する時に母は70歳以上。決断を30代まで後回しにしていいのか。30代で始めようと思ってもそんなうまくいくはずがない。

もちろん、この公式は男性にも当てはまる。30代からパートナー探しを始めようと思っても、30代は仕事を始めてそれが軌道に乗り始める時期であって、パートナー探しのみに時間が取れるだろうか?個人的には、30歳から新しい仕事を模索してもいいと思う。ただ、20代に積み重ねた知見を使うのではなく、仕事に関する知識の基盤を一から整えるのであれば、それなりの労力が必要だし(1万時間とか、10年間とか言われますね)、家族を作っていく時間はしばらくは取れないだろう。すべてでなくてもいいけれども、住む場所、キャリア、パートナの少なくともどれかは20代から基盤を整えていかないと手遅れなのだ。

私達はこの時期の知識の基盤の元において成長することが可能で、蓄積をその後の人生で切り崩して生きていく。20-35歳までに基盤がないというのは、考えても恐ろしい。友人7人で37.5歳」本を上梓したの、自分自身の反省もあれば、デンマークで会うワーホリや交換留学の若い人たちを見ていて、自分の責任を全うしていない焦燥感を感じたからに他ならない。

最近、デンマークの大学での授業を通して21-26歳の学生と付き合っていて、デンマークの若者も日本の若者と同じような課題を抱えているということを改めて感じた。学生の中にも積極的な学生と、今を漫然と生きている人たちがいる。デンマークの学生は大人だと皆言うけれど、おしなべて見ればそんなこともない。デンマークで幸せなのは、学生の中には10代でもがき苦しみギャップイヤーなどを通して、自分と向き合った経験のある人も一定数いる点だろうか。たまに、進むべき道を見つけていて、何のために大学にきているか明確にわかっている学生もいて、自分に必要なことにフォーカスしているから私の授業に手を抜く場合もある。もちろん、どうにか関心を持ってもらいたい訳で、これには大変悩んでいる(誰かアドバイスください)けれども、それが彼らの判断であるならば仕方ない。

20代にやっておくべきことをやっておかないといけない、ということについて、最近Meg Jayという方が、もっとわかりやすく話していることを知った。「重要な出来事の80%は、35歳までに起こる」という事実。主観じゃなくて、これは学際分野の蓄積と確固たるデータに基づいた「事実」なのだ。TEDの日本語字幕もあるみたいなので、ぜひ。

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