北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

なぜ私たちは歴史を学ぶのか

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4年生の娘の保護者会に参加した。そこで歴史の先生による驚愕の発言、「今年度、歴史の授業では子供達はバイキングについて学びます。ゆえに、武器のついても触れます。次に、宗教ですが…」


一瞬発言の趣旨がよくわからず、頭の中で咀嚼、復唱した。つまり、歴史の授業で一年かけてバイキングについて学ぶということだろうか?もちろんバイキングは、デンマークの誇るべき歴史ではあるけれど、10歳の子供にデンマークの歴史の導入としてもっとすることがあるんじゃないだろうか。デンマークの人は重要な歴史的イベントの年代を知らない人が多い印象で、歴史の重要人物や世界の歴史についての知識も波がある。歴史についてもっと包括的に学習できるようなプログラムとかは、必要ではないの?頭の中でぐるぐる回り始めた疑問は消えることなく、くすぶり続けた。


歴史の先生の発言に対する親の反応も、また驚いた。「それはいいことだと思う!素晴らしいイニシアチブですね」から始まり、「自分の息子はヴァイキングについて詳しいので、授業の時にぜひ説明させてあげて欲しい」といったものまであった。先生も調子に乗ったのかどうかわからないが、「バイキングは資料もたくさんあるし、教材もたくさんあるので、とてもやりやすいんですよね」と、言い始め、「周囲の親たちは、そうですねー、それは素晴らしい」と最後まで和やかな会話が繰り広げられた。


普段は空気が読めない私もここで反論するのは違う気がして、とりあえず黙ったまま帰宅した。帰宅後に、旦那に敬意を説明し、「おかしいと思わないか」聞いて見たら、ここでも反撃にあった。


「バイキングについて子供達が学ぶことは重要なことだ。バイキングの歴史を学ぶことで、デンマークの祖先が海外に積極的に進出していった経緯を学び地理も学ぶことができる。その当時の社会状況や、その当時も女性が社会の中で重要な地位を占め、大きな役割を果たしていたことを学ぶこと、バイキングがいかにイノベーディブで、海運のスキルを向上させていったことを考えることは、今のイノベーションダイバーシティが求められる時代の子供達に重要な示唆を与えること。海外に進出し、単に殺戮をしただけではなく、定住するための方策を持ってその土地に根を張り、開墾し穀物を育てることを広めていったことが今に繋がっている。考古学は科学や化学の宝庫だ。どのようにして昔の常識を覆してきたかを学ぶには、新しく歴史を正しく理解するために編み出された手法を知ることにもつながる。バイキングが誤解され続けていたのは、なぜか?文字を持たず発言する機会がなかったからで、記録を残す文字という手段がなかった民が正しく理解されない危険性を学ぶこともできる。王の名前を1代から覚えて何になる?なんのために歴史を学ぶんだ?」


なんのために、歴史を学ぶんだろう。天皇の名前を125代正しく言えることに注力する歴史教育を受けてきた身としては、その自分の努力を褒めてあげたいと思ってしまうのだが、確かに、その位置づけや意味合いや、関係性などを議論できる自信があるわけではない。


私たちは何のために歴史を勉強するのか?それは、過去の失敗を繰り返さないため、過去の成功から学ぶため。そして、自分のルーツや文化に自信を持つため、つまり生きる力をつけるため。


歴史を学ぶ目的を明確にすると、歴史教育に必要な視点が明確になる。

デンマーク医療を評価しない理由

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デンマーク医療に関しては、特に長い間の懸案だった眼科治療に関しては、グローストロップの医療チームが素晴らしすぎて、プラスのコメントしかできなかった(参照:デンマーク医療を評価する理由 - 北欧生活研究所)。ただ、すべてにわたってデンマークの医療が機能しているかというと、残念ながらそういうわけでもなく、だからこそ、否定的なレポートも多々出ているんだろうと思う。

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コペンハーゲン・レストラン・ランキング2017<多国籍料理編>

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前回、コペンハーゲン・レストラン・ランキング2017 - 北欧生活研究所の閲覧数が高かったことに気をよくして、今回は、コペンハーゲンのレストラン・ランキング多国籍料理編。なぜデンマークで敢えて?と皆が考えるだろうワールド・レストラン特集です。多くの場合、マイナー料理で、しかもデンマークでは格安である場合が多い。旅行で来る人は敢えて行かないだろうなと思いつつも、えぇ....、それでも、オススメなんです。

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現金を使わない生活

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つい最近ドイツ(EURO圏)に住む日本人と日本に住む日本人(日本円)とデンマーク(デンマーククローネ)に住む私で、夕食を食べに行った。

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デンマーク医療を評価する理由

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北欧の医療は素晴らしいと言う手放しで褒める記事や論文は多々あるし、逆に北欧に住み始めた日本人の不満の声も多くのブログや口伝えで聞く。13年住んだ今、デンマーク医療の背景となる病気や治療に対する哲学を知り、公的医療として無料で国民に提供されるがゆえの医療の質と量のジレンマもよく理解できるようになった。一個人としては、もっと充実させる方法があるとわかるがゆえに悩ましい部分もあるものの、数回の眼科手術をデンマークで受けた身としては、以前デンマークの医療は本当に悪いのか? - 北欧生活研究所で書いたように社会全体としては、とても良い仕組みになっていると言わざるを得ない。そして、以前言及したように、治療の質は二極化しているのでどちらの治療を受けたかによって個人の感想は大きく異ならざるを得ないと言う点も改めて協調しておきたいと思う。

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AviciiとSaksとPottsの共通点

Aviciiが死んだ。スウェーデンの芸能家庭に生まれたおぼっちゃまということだが、若い頃より音楽の才能を発揮。澄んだ音にキレの良い歌詞、若さも手伝って、人気は高かった。単なる恵まれたおぼっちゃまだろうと揶揄する人もいるし、実際、自分もそう思っていた。ただ、金持ちボンが皆著名人になれるわけでもないし、成功するわけではない。

高齢化社会と言われる北欧で、若者人口は減少しているのに、世界的に活躍する若者も相応にいる。そのような若者を見るのは、嫉妬の感情や羨望もないわけではないが、何よりも尊敬の気持ちが強い。特にAviciiの音楽は、パーティ音楽にも関わらずちょっと哲学的で透明で、聞いていても暴力的になったり破壊的な感情に惹かれることが無い気がする。

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Bevarに行って来た

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最近好きなコペンハーゲンのストリートの一つがRavnsborggade。近くには、大好きなエチオピア料理もあるし(エチオピア料理@コペンハーゲン - 北欧生活研究所)、カフェや特徴のあるワインセレクションのお店やら雑多かつ和やかな雰囲気を漂わせている。のんびりMacを広げて作業している人やミーティング中の人、親しげに語り合っている人。HPには、ここぞとばかりにHygge(ヒュッゲ)の文字。確かに、ヒュッゲリだ。

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