北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

継承語と多言語多文化教育

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(写真: デンマーク図書館。図書館は学習する場所、身体性を生かした学習も含まれる)

どうやら日本語を「継承語(Heritage Language)として学ばせる」という動きが、世界各地に住む日本人の中で見られるようになっているらしい(正確には日本人だけではなくてカナダや米国など筆頭に多言語多文化環境の様々なところで見られている)。夏にデンマークに来てくれた茜ちゃんが米国で継承語クラスを実践し、フランスに住む中高の友人が時折呟いていて、最近、気になっていた。

この継承語、「親から受け継いだ言葉」が一般的な定義となっているようだが、日本語を、自己のルーツを継承することを目的とした言葉として学ばせることとでも言えるだろうか。例えば外国に長期滞在/永住する日本人(よくあるのがパートナーが外国人)が、自分の子供(よくあるパターンがハーフの子)に日本語を学ばせたいとする。今までは、多くの人が子息を日本人補習学校などに行かせていただろう。ただ、これにはいくつかの課題がある。

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家系学とクラウドソーシング

f:id:jensens:20170120233514j:imageGenealogyという言葉をきいたことがあるだろうか。系図学とか系譜学とか訳されるようだが、「家族の家系を明らかにし家系図を作成する学問」とWikiには記載されている。先祖探しを紐解く鍵としては、家に伝わる古文書などがあればいいのだけれども、国勢調査などの公文書も非常に重要な情報源になる。

デンマークでは、近年趣味人が自分の家系探索をするといったことが流行っているらしく、デンマーク国立公文書館(The Danish National Archives)には、その趣味グループが定期的に会合を開いているんだそうだ。

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拡張参加型デザインとリビングラボ

f:id:jensens:20170117205249p:plainフィンランドのアールト大学で参加型デザインの研究をし、現在は、オウル大学に移っているヨハンナさんが「拡張参加型デザインExpanded Participatory Design」と題して研究発表をした。彼女が言っているExpanded Particpatory Designというのは、ITシステムを市民を巻き込んで構築する(トップダウン)ばかりでなく、アクティブユーザが作り上げる自律コミュニティ(citizen self-organization)を中核として、その後の使い勝手の改良をも進めていっているようなコミュニティにおける自律的参加型デザインのこと。公式な(研究資金をもらって進めているような)ITプロジェクトから自律的、かつunofficialITプロジェクトになっている事例をあげて、Expanded Participatory Designと呼んでいる。これは、user-drivenと言い換える事もできるだろうか。そのような自律的なITサービスやシステム開発をどのようにICTで支援できるか、これは今後もとっても重要になっていくことだろう。

自律的に始まったものの例として挙げていた中でもCleaning Day(Homepage - Siivouspäivä)の事例が面白かった。初めはイリーガルに行われていたHelsinki市内での物々交換販売フリーマーケットが、フェイスブックやメイルチンプなどのITのサポートを受け、最終的には市にもサポートされるようになり、自律運営が継続されているというものだ。

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IoTと倫理観

f:id:jensens:20170114223753p:plainITUの研究者が、CIIDほか2大学と共同で取得した3年間のHorizen 2020 EUプロジェクトVIRT-EU | ETHOS;Ethics and the internet of Thingsのキックオフイベントが実施されて参加してきた。

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噂のアレを見てきた

f:id:jensens:20170106212112j:image周囲で噂になっているアレを、子供が寝た後に旦那と二人で見に行った。シリアスなファンが、コスプレして、何十時間も待ち行列をつくるアレだ。前回はコンピュータサイエンティストの旦那と字幕なしでアメリカで見た。全然わかんなかった。前々回は、昔の彼氏とパリで見た。新しく作られたシアターで、迫力の大画面と音響設備で、そしてフランス語字幕で。素敵な場所以外、何も覚えてない。エピソード5も6も、父に連れられて、いとこたちと映画館で見た(気がする)。オープニングしか覚えていない。

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「熊と踊れ」と安心感の強奪

北欧ミステリーという分野があるようで、近年、なかなか興味深い作品が発表されている。私の能力では、デンマーク語やスウェーデン語でミステリー小説を読みたいという気にはなれないのだけれども、実際に読んで(日本語で)みると現在の北欧の社会問題が下地になったストーリーが多くしかも知っている場所がよく出てくるから面白い。で、翻訳してくれる人・会社にはとても感謝だ。ありがとう。

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デンマークの郵便事情

f:id:jensens:20170604000731j:image年末年始に郵便を出そうと思ったら郵便ポストの投入口が施錠されていた。どうやら新年のお祭り騒ぎで郵便ポストが破壊されることがよくあったからということだけれども、クリスマス後から1月1日にかけて郵便ポストは使えず、配達物は郵便局に届けに行かないといけない。それはめんどくさいわけで、新年になったら解錠されるということで2日の本日郵便物を投函しに行ったのだが...。

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