北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

日本式ヒュッゲ

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世界不思議発見デンマークの「ヒュッゲ」が取り上げられたりしたりと、日本でもデンマーク固有と一般的に言われるHyggeという言葉の認知度が高まっている印象を受ける。小さな頃より個人的にも大好きなテレビ番組である世界不思議発見の最近のデンマークヒュッゲ特集もその一つ。ヒュッゲって何?って改めていう必要もないかとは思うが、ヒュッゲは長い冬だけのものでもないし、ライフスタイルでもないし、どちらかというと、毎日の生活の中に取り入れるとちょっとしてQoLの向上が見込める「自分にとって心休まる心地いい時間を過ごすこと精神」みたいなもんだと思う。

 デンマーク人は、夕飯をご馳走になったり、パーティに誘われたりした後に、ホストにヒュッゲな時間をありがとう!と挨拶をする。家族で集まってとりとめない話をしている時に、ヒュッゲリだね、って言ったりする。Hyggeな時間って何を指すの?と聞いてみると結構デンマーク人にとっては共通しているコトは多いかもしれない。気の置けない友達と食事をのんびり楽しむ時間、子供と暖炉の前で過ごすこと、沈まない太陽を見ながら別荘でゆっくりワインを傾けること、ソファーに寝転がって本を読むこと、子供とネットフリックスを一緒に見ること….。自分を飾り立てたり、作る必要のない場所で、遠慮とか気兼ねとかをしなくていい家族であったり、近しい知り合いと時間を一緒に過ごすこと。

以前、義理の母がコペンの我が家に来て帰った翌日、旦那が、自虐的な笑いを浮かべながら話してくれたことがある。私が子供たちと風呂に入っていた時に、「嫁さん(=私)はもっと子供とのヒュッゲの時間を持てばいいのに」と旦那に言ったんだそうだ。実は、前前日には、私と義理の両親で知り合いが1年かけて計画していたオペラを見に行くことになっていたが、自分は家で孫と「Hygge」したいと言って突如キャンセルした。翌日は、義理の父と我々夫婦はおなじく長い間待ちに待っていた日本人ピアニストの別のコンサートにお出かけ。そんなことがあったから余計にかもしれないけれども、外遊び歩いてなんじゃい!子供ともっと時間を過ごせ!(私を見慣らってね)というお怒りと理解した。我々親が外で遊んでいる時に、バーバと孫は、クリスマスの飾りを作り、ボードゲームで遊んで、テレビを見てヒュッゲしたんだそうだ。その翌日、義理の母と父はユトランドに帰って行った。

ありがたいことに、旦那は母親に意見してくれたらしい。「いま一緒に風呂に入っているのがわからないのか?あれがこの家の親子のヒュッゲなんだ」と。

自分としては、子供とのヒュッゲの時間を持っていないつもりはなく、それは、私の中では一緒に料理をする時間だったり、お風呂に入ったり、ちょっと街歩きをしたりする時間だったりする。私は、基本ボードゲームはしないし(デンマーク独特のボードゲームで良くわからなかったり、言葉ゲームだったりすると余計に)、子供のテレビ番組を一緒に見ることもない。私にとって苦痛に感じることを、ヒュッゲなはずだからと強制されるのは、どうあがいてもヒュッゲにはならない。単なる社会的圧力で脅迫なのである。

本来、人ぞれぞれ心地いい感覚は違っていて、結局は、何がヒュッゲかは主観で作り上げられるんじゃないだろうか。それは、デンマーク的にはやられてないことだったとしても、ヒュッゲじゃない、とは言えない。日本人にとってのヒュッゲは、本家本元のデンマーク的には理解されないかもしれないけれども、コタツに入ってミカンを食べながら紅白やゆく年くる年を見ることかもしれないし、サザエさんを見ることかもしれないし、wiiを家族ですることだったり、お風呂に入ったり、卓球をしたり、温泉に家族で行くことかもしれない。