北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

2020年夏 Vol.1

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コートダジュールパンプローヌビーチ(Pampelonne)も人がそれほどいない

17時間車を走らせて、ボルドーに住む小中高時代の友人に会いに行った。15年の間、現れては消えていたボルドー訪問が現実になったのはコロナのおかげかもしれない。長い休みには、日本や米国とか、欧州以外の遠くに行くことが多くて、いつも次はボルドーにと思いながら実現できてなかった。今回、2週間の夏季休暇の旅先を考えていた時、思い浮かんだ場所がボルドー だった。

 このご時世に旅行をするというのはどうなんだろうかと、長い北欧の夏休みが近づくに連れて鬱々と考えていたら、夏季休暇の2日前になってしまった。2週間仕事も学校もないコペンハーゲンでは、絶対に子供はダレる。お菓子を食べまくりテレビをみまくる。そして、我々大人は、仕事をしないと約束したとしても、1ミリの疑いなくPCに向かってしまうだろう。絶対に自宅を離れなくてはならないと、2020年夏休暇として旦那が提示したのは、ノルウェーをキャンピングカーで回るという提案だ。ノルウェーは、デンマークよりも優秀なコロナ対策国家だったらしく、大きな問題なくもっとも最初にデンマーク間で国境が開かれた国の一つだ。さらに、ノルウェーは、人口も少なく国土が広い。森や山に行けば1週間、人と全く会わないといったようなことも可能だ。現状においての旅行先として安全であることはこの上ない。

ノルウェーは、雄大な自然に美しいフィヨルド。切り立った崖。イメージはとても良い。ただ、大きな懸念が。この季節のノルウェーは、確かに雪深くはないが、常に曇っていて時には雨が降り、巨大な蚊が草原を飛び回っている。夏とはいえ空寒く、ニットやウインドブレーカーが必須だし、洗濯がしにくい旅行中においてジメジメとした彼の地に2週間もいたら洋服が全部カビ臭くなることは避けられない。夏なのに夏らしいことできずに、秋を通り越して冬を先取りかよ…と、ノルウェー旅行を考えてきたら妙に悲しくなってきた。

いや別にノルウェーじゃなくてもいいんだけれども...という旦那のコメントに考えを巡らす。他にどこに行きたいだろうか、デンマークの政府が勧める島巡りもいいし、フェロー諸島アイスランドもいいかもしれない。ドイツも国境が開いたから旅行先としては候補に上がる。ドイツワインは、リスリングだけではなくて、赤も白も最近美味しくなっているし…と考えを巡らせていた時、突如としてボルドーや南フランスが思い浮かんだ。暖かくて(暑くて)美味しくて、そして何よりも会いたい友達がいる!ボルドーが頭に浮かんだのは、私にとっては自然な流れだったかも。

 日本の感染はまだまだ広がっていて、米国は爆発中。欧州でも時折不穏な空気を感じる。人命を経済安定よりも優先させてきたデンマークでは、ようやく落ち着きが見られていることから、夏季休暇市場を前に、大打撃を受けている観光業の復興がそれなりに重要になってきてきている。日本のGoToというと言い過ぎかもしれないが、欧州でも「安全に配慮した」旅行を奨励している。デンマークでは、1チケットで6つの美術館の24時間回り放題チケットやフェリー無料プログラムや電車乗り放題チケットなどが出されていたりする。

どんなに感染対策しても100%感染を防げるわけではないだろうし、万が一にも旅行先で感染して(もしくは旅行先でばらまいて)さらに拡大してしまったとなっては取り返しがつかない。だけれども、観光・旅行業界は、もはや欧州でも一大産業だ。デンマークでは、デンマーク人観光客が増えているお陰で40億クローネの収益がこの数ヶ月で出たらしいが、本来ならば、。稼ぎ時の夏に、観光都市はどうしているんだろう。ギリシャやイタリアやスペインや島々はどうしているんだろう…。航空業界や旅行業界で働く友人たち大変そうだし、心が痛む。感染症の広がりで、人の移動や物流が制限されることで、かかる負担は半端ない。 

私一人が行動したからどうにかなるわけではないし、一家族の行動で業界に潤いが出るなんておこがましいことを思っているわけでもないんだけれども、とりあえず行ける人が行くことは必要なのかもしれないなぁ、なんて考えつつボルドーの友人たちに連絡をしたら、時間を取ってもらえそうだ。ということで、旅行先は決まった。ドイツ経由、ボルドーと南フランスを回る。2日前にホテルの予約を取り、とりあえずパッキングをして出発した。

この旅の私の目的は、

  1. 2人の()小中高時代の友人に会うこと@ボルドー
  2. 蟄居生活中に彩りを与えてくれた日本人シェフのフレンチレストラン@ニースに行くこと
  3. 子供に夏休みを感じてもらうこと

旅行中も、デンマークナンバーの車を走らせていることに罪悪感を感じたり、実際に、私はここに居ていいんだろうかという考えがよぎったりもしたけれども、総じて逆にとても感謝されてしまったし、楽しいハプニングの連続で、バタバタだったけれども出かけてよかった。

世界は美しいし、人の心は美しい。皆、自分のできる範囲で、自分が今できることを一生懸命している。