北欧生活研究所

2005年より北欧在住。北欧の生活・子育て・人間関係,デザイン諸々について考えています.

北欧のミライの図書館

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DOKK1の入口付近
最近の北欧の図書館は面白い。昔ながらの図書館は今やオンラインに移りつつあるようだ。本を借りるだけならわざわざ図書館にいかずともオンラインで借りることができる。
 
今の新しい図書館は、単なる本を読む場所借りる場所というわけではなく、静かに受験勉強をする場所というのではなく、人が様々な体験をするために集まる場所になりつつある。図書館には、書籍もあるが漫画映像もある。ポットキャストが作れるメディア・スタジオがあり、楽器演奏ができる音楽スタジオもある。コンピュータゲームインタラクティブゲーム(Wiiとか)ができる場所もあれば、ボードゲーム玉突きエアーホッケーができるテーブルもある。3Dプリンターやミシンが置いてあって自由に使える。時には著者が新書についてかたり、文化レクチャーや哲学カフェが開催され、音楽会があり、展示会もある。まるで晴れた日の公園のように、人が何か面白いことが起こりそうだと考えて集まる場所になっている。
上のリンクから飛べるのは、2020年に開館したノルウェービョルビカ分館の映像だ(ちょっと光が足りなくて残念)。デンマーク・オーフスのDOKK1しかり、フィンランドOODIしかり、ノルウェービョルビカ分館しかり、空間に配慮が行き届いていて北欧らしさが漂い、そこはもう旧来のイメージする図書館じゃない。吹き抜けの空間は、室内にいることを忘れさせるし、壁一面ガラス張りの読書エリアは、窓の先のフィヨルドの景色や草原の景色が手伝って、森の中や草原にいるかのようだ。小さな子供がいる家族や、友達同士カップが、暇だから行ってみよう、楽しみを見つけに行こうとして向かう場所になっている。

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ノルウェの図書館でできること。お裁縫もできます。
昔は、図書館は、静かに本を読む場所という位置付けだったはずだ。だが、今や、北欧のどの図書館も、知識は書籍からのみ得られるわけではないんだよ、感覚を総動員させて、五感全てを活性化させ体を動かすことで、さまざまな人やものとインタラクションすることで知識が得られるんだよ、と言っているかのようだ。

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DOKK1の子供エリア。ちょっとした隠れ家になっている。
とはいえ、美女と野獣に出てくるような天井まで届きそうな本棚が広がる書斎が欲しい私としては、中世の古めかしいセントガレンのような荘厳な雰囲気の図書館が好きな私としては、少々物足りなくも思ったりもする。私にとって図書館は、憩いの場であると同時に聖域でもあり、コクーンのような図書館も大好きだ。寒くて暗い冬の日に、籠って暖炉の火を見ながら本を読むのが、私の幸せだ。

図書館訪問記

以前にちょっとだけ書いた記事をあらためて見返してみた。
2005年にスウェーデンに来て初めて、すぐにマルメ図書館に行っており、15年前もあまり変わらず、図書館に居場所を探しに行っていることがわかる。その後、スウェーデンストックホルム私立図書館フィンランドOulu市立図書館など、北欧全般たくさん訪問した。2016年訪問したDOKK 1(未来の図書館の姿:DOKK1)とOrestad図書館(未来の図書館の姿:Ørestad biblioteket)は、図書館訪問記録を残している。この頃すでに、未来の図書館について色々と考えていたらしい。